[ムルコ/バルジュー22]
前述のCal.22は、コラムホイール、チラネジ付きの天輪を備えた伝統的なスタイルの設計で、その後の同社製ムーヴメントと比べるとやや大ぶりの32mmサイズ。基本的な設計に優れたこともあり、その後に小型化されたCal.23やCal.72などへと発展していく重要なムーヴメントだ。
このムルコはケースサイズ38mmと、アンティーククロノグラフとしては大きめで、現代のファッションに合わせても使いやすい。ツートーンのいわゆるブルズアイダイヤルは落ち着いた色調で、ラグの形状もクラシカルな雰囲気を感じさせる。ミリタリーっぽい雰囲気を強く漂わせており、袖口をぐっと引き締めてくれそうな精悍さだ。
【商品詳細】SS(38mm径)。手巻き(Cal.22)。1940年代製。39万6000円。取り扱い店/プライベートアイズ [ショップページはこちら]
[ベンラス/スカイチーフ バルジュー72C]
Cal.22からは派生ムーヴメントが多く生まれており、その代表的な存在が時積算計を追加した3カウンターのCal.72だ。Cal.72Cはそのカレンダー付きで、1940年代後半から製造されている。ムーヴメントのサイズは30mmを切るサイズまで小型化され、それだけに時計自体の設計も自由度がアップしている。
スカイチーフはパイロット向けクロノグラフだが、この14金ケースはラインナップのなかでも異色のハイエンド機で、おそらく高級士官向けに作られたものだろう。クロノグラフに加えてトリプルカレンダーも搭載した豪華な仕様で、ムーヴメントの面取りも丁寧に施されている。
【商品詳細】K14YG(35mm径)。手巻き(Cal.72C)。1940年代製。78万円。取り扱い店/キュリオスキュリオ [ショップページはこちら]
今回の2モデルとも、この品質のクロノグラフムーヴメントを積んだ現行モデルなら、確実に数倍に価格が跳ね上がるだろう。機構の素晴らしさや仕上げの美しさを考えると非常にリーズナブルで、アンティーククロノグラフとしてに魅力にあふれた価値あるアイテムだ。
文◎巽 英俊
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