日本未上陸の時計ブランド“DENNISON(デニソン)”は、もともとロレックス、オメガ、IWC、ジャガー・ルクルトといった著名な時計ブランドに高品質なケースを供給していた会社である。
創業者はイギリス系アメリカ人のアーロン・ラフキン・デニソン。彼はデニソン創設前の1850年にアメリカ最北東部にあるメイン州ブランズウィックにウォルサム・ウォッチ・カンパニーを設立したことでも知られており、72年にイギリスに渡り、74年にデニソン・ウォッチ・ケース社を設立した。
50年以上にわたって英国軍のために時計ケースやその他の計器を製造、納入するなど、デニソン・ウォッチ・ケース・カンパニーが残した功績は多い。その技術力が支持を集めてヨーロッパ最大の高級時計ケースメーカーとなり、最盛期にはロレックス、オメガ、ロンジンなどに、年間25万個のケースを生産したとされている。
歴史的偉業を陰から支えた実績も多く、ニュージーランド人の登山家“エドモンド・ヒラリー”ネパール人のシェルパ“テンジン・ノルゲイ”はチベットのエベレスト登頂成功時にデニソンの“アクアタイト”ウオッチケースを使用した13個以上のスミスウォッチを携帯。マイク・リスゴウ少佐がスーパーマリン・スイフトで世界最高速度記録を樹立した際には、デニスンの“アクアタイト”ケースのJ.W.ベンソン・トロピカル・ウオッチを着用したとされている。
今日、イギリスを拠点とするデニソンは時計製造を再開している。熱狂的な時計マニアが率いるこのチームは、デンソンのバックカタログや歴史的遺物にインスピレーションを求め、その過程でブランドの進むべき道を一助となる文書や画像、タイムピースの宝庫を発見したそうだ。 彼らはデンソンのアーカイブからヒントを得て、その歴史を現代に蘇らせたのだ。
新生デニソンは、オーデマ・ピゲ、ロレックス、ピアジェなどでアイコニックな時計をデザインしてきたデザイナー、エマニュエル・ギュイにフラッグシップコレクションを託した。この新しいコレクションでは、1960年代に彼らが遺したものを引き継ぐと同時に、新たなデニソンのスタイルを提示して見せたのだ。
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DENNISON(デニソン)
A.L.Dストーンダイアルウォッチコレクション
創業者のアーロン・ラフキン・デニソンの頭文字から命名された、A.L.Dストーンダイヤルウォッチコレクションは、1960年代のモダニズムのクリーンでシンプルなデザインを現代風にアレンジしたフラッグシップコレクションだ。
希少な鮮やかな天然石を使用した文字盤が特徴となっており、ケースはクラシックなデニソンのクッションケースを現代的に再解釈したもの。長方形でありながらも微妙な丸みを帯び、エレガントな雰囲気を表現している。
ケースサイズ 33.65mmで、厚さは6mmと非常に薄い。スイスのロンダ社製のクォーツムーヴメント、Cal.1032-1を搭載。 交換可能なクロコレザーベルトが付属しており、様々なカラーバリエーションから選択することが可能となっている。
文字盤はマラカイト、タイガーズアイ、ラピスラズリ、ミッドナイトアベンチュリンの五種類をラインナップしており、天然石をスライスしたマラカイト、タイガーズアイ、ラピスラズリはもちろん、アベンチュリンも文字盤の模様、色彩が個体によって異なる。まさに唯一無二のデザインとなるわけだ。ケースはゴールドPVDとステンレススチールの2種類となっている。販売価格はそれぞれ約10万8000円だ。
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》DENNISON(デニソン)
公式サイト
https://turismo-watches.com
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/