戦場という極限の状況での使用を想定した究極の実用時計をルーツにしながら、その対極に位置している名だたる高級ブランドからも数多くのモデルがリリースされ、時計好きからも人気を得ているミリタリー時計。一体、何が時計好きを引きつけるのか。
意見は様々あるだろうが、筆者は機能的なデザインをまず挙げたい。戦場での使用を想定したミリタリーウオッチは、ぱっと見て瞬時に時刻が認識できる視認性の高さが求められる。そのために暗闇でも見えるように夜光塗料が開発され、デザインもはっきりした大きめのインデックスが採用され、文字盤とのコントラストも高くなっている。機能性を追求するうちに見た目は徐々に洗練されていき、結果的に、バランスのとれた完成度のデザインに辿り着くわけだ。
また、厳しい環境で使っても壊れないタフな設計も魅力といえるだろう。 ミリタリーウオッチの多くは、その背景に実際に任務で使用されることを想定して開発されている。デイリーユースで使いながら、持っていてそれとなく自慢できるプロ仕様の堅牢性、機能を備えているというのは、やはり男の装飾品として不変の魅力といえるのではないだろうか。
エリオット・ブラウン(Elliot Brown Watches)
ホルトン オートGMT NIVO 101-A23
2013年にイギリスで創設された、日本未上陸の独立系マイクロウオッチブランド。アウトドア生活する人々の厳しい要求を満たすために、オリジナルの時計を考案し、製作しており、本作は英国軍の専門部門と協力して開発されている。
文字盤にはイギリスの爆撃機用塗料として開発されたNIVO (Night Invisible Varnish Orfordness)を採用。灰色にも、青にも、緑にも見える独特の色合いの文字盤、マットガンメタルグレーPVDコーティングを施したケースの組み合わせが、プロ仕様の計器らしい凄みを感じさせる。
■SS(43mm径)。200m防水。自動巻き(Cal. NH34 )。795ポンド(約15万1100円)
【画像】NIVOだけの特殊な文字盤カラーや装着感をもっと見る
マイクロミルスペック(Micromilspec Watches)
コンバット・ダイバー
ノルウェーの首都、オスロを拠点とする日本未上陸の新鋭ブランド。2019年から精巧なデザインと機能性を兼ね備えた、カスタムメイドの機械式時計を製作しており、一般向けの時計に加え、アメリカ宇宙軍、フランス特殊作戦司令部、王立ノルウェー空軍 330飛行隊などの軍事関連と協業しており、軍用のオーダーメイドウオッチを手がけている。コンバット・ダイバーは、個性的なディテールが満載の時計で、フランス特殊部隊の戦闘ダイバーとの共同設計で開発され、2023年に初めて一般公開されたモデルだ。
文字盤には波模様が施され、7時位置には最大潜水深度を示す赤色のマーカーを配置。 オーバーサイズの針とシンプルなインデックスは視認性に優れ、200m防水を確保。ムーヴメントはスイス、セリタ社製のCal. SW200-1を搭載し、マイクロミルスペック社によって精度が高められている。
■SS(42mm径)。200m防水。自動巻き(Cal.SW200-1)。年間200本限定生産。ブレスレット2110米ドル(日本円で約30万1000円)レザーベルトは 1960米ドル(日本円で約28万円)
ハンハルト(HANHART)
ハンハルト 417ES トルネード
ドイツ空軍へのサプライヤーとして腕時計を供給していた歴史をもつ老舗ブランド、ハンハルト。本作は、1974年8月14日に初めて空に飛び立った多用途戦闘機“トルネード”の50周年を記念し、“PANAVIA Aircraft GmbH 社”とコラボレーションした限定モデルだ。
ハンハルトが55年にドイツ連邦軍に納入した航空乗組員向けの腕時計のひとつ“417 ES サービス・ウォッチ”と同じ外観・寸法・機能が与えられ、文字盤の番号、フォント、ブランドロゴも、当時のディテールを再現。9時位置には、3か国(ドイツ、イタリア、イギリス) のパートナーの色をあしらった円形章がレイアウトされた。さらに、赤いポジションマークにより、歴史的なモデルを彷彿とさせるビジュアルに仕上げられた。
■Ref.H701L.214-7010。SS(39mm径)。10気圧防水。手巻き(Cal.セリタ AMT5100M)。世界限定148本。71万5000円
【画像】ドイツ軍用クロノグラフを再現した夜光文字盤やサイズ感を見る
【問い合わせ先】
ムラキ 時計部
TEL.03-3273-0321
文◎Watch LIFE NEWS編集部
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