黒漆とゴールドのコントラストが美しいセイコーモデル
セイコー腕時計110周年を記念して登場した“グランドセイコー”の限定モデルでは、日本古来の深みがある黒漆を文字盤に塗布している。本モデルは初代GSを表現したデザインを取り入れている。
漆を塗布した上には、金沢の漆芸家・田村一舟氏によって高蒔絵を施し、繊細さと力強さを感じさせる仕上がりに。分針と秒針の先端は手作業によってわずかに文字盤側に曲げられており、漆塗りのほかにも細かなこだわりが感じられる。
文字盤の黒漆が美しいだけでなく、セイコーの歴史を感じさせる記念碑的モデルをベースにしている点も、セイコーファンにとっては魅力的なポイント。また、グランドセイコー独自の“ブリリアントハードチタン”をケースや中留に、ゼンマイにも独自素材“スプロン”を採用している、グランドセイコーの技術力を感じられる。なお、このモデルは残念ながら、現在は完売となっている。
会津伝統工芸士とのコラボレーションモデル
カスタムオーダーを展開する国産時計ブランド“ノット”では、会津伝統工芸士・大竹信一氏とのコラボモデルを登場させている。伝統工芸士とは、伝統工芸品の製造に従事する技術者の中でも高度な技術・技法を保持する技術者だけに与えられる称号。大竹氏は優美で華やかな意匠性を特徴とする会津塗蒔絵師の職人として活躍している。
コラボモデルの最新作では、国産漆の黒漆または朱漆を塗布した上に金・銀粉を蒔きつけた。深みのある漆塗りに金や銀の華やかさが際立つ。製作は通常の工程の途中で金紛を振り、さらに研ぎ、塗り、乾燥を重ね、全30もの工程を経ている。製作期間は3カ月にわたる。
日本技術を腕に感じる生活もいいかも?
他の塗装技術とは異なる光沢や透明感に特徴をもつ日本の伝統工芸・漆塗り。その特徴を生かした文字盤は、奥行き感や高級感が感じられる。一味違った腕時計を欲しいと思う人は、漆塗りをはじめとする日本伝統工芸とのコラボレーションを候補に入れてみるのもいいかもしれない。
文◎トレンドライター ゆい