2011年に発売開始されたセイコーの“プレザージュ”。日本特有のデザインを全面に押し出したラインとして、高い支持を誇る人気ブランドだ。なかでも高い人気を誇るのが2020年に登場した“Sharp Edged Series(シャープ エッジド シリーズ)”だ。
ほうろうや漆塗り文字盤など、時計と伝統技術を融合し、日本的な美を追求した従来のプレザージュに現代的な雰囲気を混ぜ合わせたシャープ エッジド シリーズは、数万円〜10万円台の手が届く価格で非常に高品質なモデルを多く発売している。
そこでこの記事では、そんな同シリーズから2024年9月現在発売中の人気2モデルをピックアップ。実機レビューをとおしてその魅力をお届けする。
【画像】2023年売れ筋モデル1位も!セイコー プレザージュの人気2モデルを実機レビュー
【“セイコー プレザージュ”売れ筋モデルを深堀り!①】
Sharp Edged Series(シャープ エッジド シリーズ)
Ref.SARF005
プレザージュ初のスポーティブなモデルとして2021年5月に登場した、GMT機能付きの、“SARF005”。華美な装飾をそぎ落として本質を表現する洗練された日本独自の美学というコンセプトどおり、スポーツモデルながら端正な美しさを生み出している。
文字盤カラーは日本の伝統色である墨色を採用しており、ブラックよりも深みのあるグレーっぽいトーンを生み出している。微妙なトーンの違いだが実に大人っぽい色調で、ダークスーツなどに合わせるとよりその個性が引き立ちそうだ。
文字盤には細かい彫り加工が施されているが、これは日本古来の伝統的な文様である麻の葉をモチーフにしたもの。厚さ0.4mmの金属板にわずかな高低差を付ける繊細な加工によって紋様が生み出されており、デザイン的な美しさだけでなく、光を乱反射させることで視認性を高める意味合いもある。
文字盤には通常の3針+GMT針のほか、9時位置にパワーリザーブ表示も搭載されているが、上品にまとまっているので文字盤上がごちゃついた感じはない。。そしてデザイン的なアクセントにもなっている赤いGMT針は単独調整が可能だ。文字盤と針の配置も立体感をうまく生み出しており、価格以上の高級感を放っている。
ケースは鏡面とヘアラインを組み合わせており、それぞれの使い分けの巧みさはさすがセイコーといった感じだ。ケース自体のデザインはシンプルなラウンド型だが、ラグ部分の平面の使い方が上手で、鏡面とヘアラインのコンビネーションで立体感を生み出している。
特にエッジのシャープさは際立っており、落ち着いたテイストの中にスポーティブな雰囲気をうまく加味している。またこのケースの輝きをキープするために、セイコー独自の表面加工“ダイヤシールド”が施されているのも大きなアドバンテージとなるだろう。組み合わされた3連ブレスもしっかりしたつくりで、耐久性はかなり高そうだ。
スポーツモデルとしては平均的な42.2mm径、13.7mm厚。腕に吸い付くような着け心地は悪くないが、180gオーバーでややずっしりとした重みはあるため、軽さを重視するユーザーは要注意だ。
ムーヴメントはプレザージュでよく使われている6R系のなかでも、GMT対応の6R64を搭載している。6R系は耐震構造“ダイヤショック”、巻き上げ効率の高い“マジックレバー”、耐久性の高いゼンマイ用合金“スプロン”という三つの特徴をもったトライマチックムーヴメントとして高い性能を誇る。
裏ブタはシースルー仕様でこのムーヴメントの動きが楽しめる点もうれしいが、パワーリザーブは約45時間と近年の腕時計としてはやや短めなのが、強いて言えばマイナスポイントか。
《総評》
かなり引き締まった真面目な顔つきで、国産時計の美点を上手にアピールした大人っぽいスポーツモデルだ。それでいてGMT、パワーリザーブなどのスポーティブな味付けが、デザイン的にも機能的にもよく効いている。第一線で活躍するビジネスマンがオン・オフ問わずに使うにふさわしいモデルと言えるだろう。やや重く、パワーリザーブもやや短いという短所はあるものの、10万円台半ばという価格帯は非常にコストパフォーマンスが高く、機械式時計の入門用としても打ってつけだ。
次ページでは、同じくシャープ エッジド シリーズから2023年の売れ筋1位モデルに輝いた“Ref.SARX077”も紹介。こちらも非常に魅力的なモデルとなっているため、合わせてチェックしてほしい。
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文◎Watch LIFE NEWS編集部
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