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[実機拝見]“約100g” 頭でわかっていても実際に持った時の驚きは想像以上|菊地吉正の【ロレックス通信 No.268】

今回は先日実機を見たヨットマスター42のフルチタンモデルについて簡単に紹介したい。このモデル実のところやっと最近になってチラホラ見かけるようになったが今年ではなく2023年発表のモデルである。

ただ筆者としてはここ数年で発表されたロレックスの新作の中では、デイトナ ルマンに次いで最も実機が見たかったモデルだ。

ではこのヨットマスター42の何が新しいのかを簡単におさらいすると、最大の特徴はケースとブレスに堅牢で軽いRLXチタン(グレード5チタン)と呼ばれる素材を使用したロレックス初の一般向けコレクションだという点である。

ディープシー チャレンジ

“一般向け”とあえて記したのは、RLXチタンを採用しながらも、日常使いには到底できないであろう、50mm径に約23mm厚、そして1万1000メートル防水というモンスター級ハイスペックダイバー“ディープシー チャレンジ(上の写真)”を22年にすでにリリースしており、RLXチタン製モデルとしては最初ではないからだ。

そんなチタン製ヨットマスター42の実機を見て感じた点は大きく二つある。そのひとつ目は仕上げだ。

ミドルケースの側面は、ステンレスの場合はポリッシュ(鏡面)仕上げなのに対して、この新作はグレイン(筋目のようなもの)を目立たせたサテン仕上げを施し、ブレスの側面も同様の仕上げが施されている。同部分がポリッシュ仕上げのステンレスモデルとの一番の違いでよりツール感が際立つ印象だ。

その一方でリューズガードの表面部分から続くラグにかけての面取りされたケースエッジにさりげなくポリッシュ仕上げが施されていて、しっかり高級感を残す。しかも鏡面の美しさとエッジのシャープさはチタンとは思えないほどで、ロレックスの加工精度と技術力の高さにあらためて感心させられる。

ヨットマスター 42 RLXチタン

二つ目は、重量である。〝約100g”といわれていてだいたい旧型エクスプローラーのRef.14270に近いと聞いていたため、軽いということは頭の中ではわかっていても、実際に持った時の驚きは想像以上だった。おそらくはサテン仕上げが醸し出す見た目の重厚感が余計にそう感じさせるのだろう。ちなみに現行サブマリーナーデイトのRef.126610が160g弱なので50g以上も軽いことになる。

最後に気になる実勢価格だが、日本に流通し始めた5月ごろには定価202万9500円に対して600万円前後だったが、現在は400万円前半から500万円前半と、下がったもののショップによってかなり幅がある。おそらくは流通量が多少増えたのに加えて為替の急激な変動もあって、実勢価格にバラツキが出ているのだろうか。もし狙うのならこの点に気をつけたほうがいいかもしれない。

ヨットマスター 42 RLXチタン
■Ref.226627。TI(42mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.3235)。国内定価202万9500円

【画像】3箇所の特徴的な仕上げなどを写真で解説!

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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