社内デザイナーによる国産初のラグジュアリースポーツか!?
かつてセイコーは、1974年にそれまで “特選腕時計”として展開していた同社の高級ラインをフランス語の“クレドール(「黄金の頂き」の意)”としてブランド化。そして79年には、SSケース、ネジ込み式のリューズと裏ブタを採用し、10気圧防水を実現するなど、薄型ケースをもつ3種類の国産初となるラグジュアリースポーツを発表した。
そのひとつが、2024年に復刻され、時計愛好家を唸らせたロコモティブ(Ref.KEH018)だ。当時のデザインを担当したのはジェラルド・ジェンタ。オーデマ ピゲのロイヤル オークやパテック フィリップのノーチラスのデザインを手がけた、まさに70年代の薄型ラグジュアリースポーツ時計の分野を牽引した人物だ。
そしてここに取り上げたのは、クレドールが発表した3種類のうちのもうひとつで、80年代に作られたクレドール“KZT”である。さざ波をモチーフとした文字盤が特徴的で、ロコモティブなどとともに70年代の薄型ラグジュアリースポーツを彷彿とする魅力的な意匠に惹かれる。ただ、本田氏曰くにはデザインはジェンタではなく、セイコーの社内デザイナーによるものだった可能性が高いとのこと。
だとしてもケースのフォルムといい、ベゼルの造形といい、ジェンタデザインに共通する魅力は多い。ちなみに当時に作られてロコモティブの現在の実勢価格は100万円オーバー。対してKZTは55万円とのこと。なお、搭載するのはクォーツムーヴメントのCal.9461。