筆者が展開する時計ブランド「アウトライン」の最新作“2レジスタークロノ・シリーズ III (写真)”。9月13日発売に先立って現在実施中のクラファン「ウオッチメーカーズ」での先行予約は、ありがたいことにすでに多くのお申し込みをいただいてる。そんな先行受け付けも早いもので31日の終了まで残り3日に迫った。10%OFFの4万4550円とお得なのはこの期間だけとなるため、よかったらぜひこの機会をご利用いただけたらと思う。
さて、この新作“シリーズ III ”。70年代の雰囲気にこだわったレトロなデザインもさることながら、搭載しているメカ・クォーツと呼ばれるクロノグラフムーヴメントも売りのひとつだ。ただ、このメカ・クォーツ、なかなかのスグレモノなのだが一般的にはあまり知られていない。よってここではこの特徴についてあらためて簡単に解説したい。
まず、そもそも通常のクォーツムーヴメントと何が違うのか。一般的なクォーツ式は秒針が1秒ごとに動くステップ運針なのだが、メカ・クォーツの場合は機械式ムーヴメントのようにスムーズに動くスィープ運針が特徴で、シリーズ III のようなクロノグラフウオッチの場合はストップウオッチ機能を作動させたときのクロノグラフ秒針(上の写真で一番細い針)がその動きをする。
特に現在主流となるセイコー製のVK64というメカ・クォーツのクロノムーヴメントは、ストップウオッチを作動させるプッシュボタンを押した時のクリック感がしっかりある点やクロノグラフ秒針をリセットする際に、リセットハンマーによって「カチッ」と瞬時に計測秒針がすべてゼロリセットされるなど、スィープ運針に加えてこの2点も機械式クロノグラフと同じ機構が楽しめる。実はいま、これがけっこう海外のマイクロブランド(小規模な独立系時計メーカー)が採用し、魅力的な時計を作って話題を呼んでいるのだ。
そんなセイコー製メカ・クォーツクロノVK64の存在を再認識させたのが、アメリカの“ダン・ヘンリー”やスイスの “ファーラン・マリ”という時計ブランドではないかと思う。両者に共通するのが1940年代前後のクロノグラフをモチーフにした古典的なデザインだ。
特に “ファーラン・マリ”は30年代のパテック フィリップのクロノグラフから着想を得て作った初のコレクションが、ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)で2021年にリベレイション賞を受賞して注目を浴びた。そのため世界はもちろん日本の時計好きの間でもかなり話題となったのだ。しかも、クォーツのため当時の日本円で5万円台だったことも、さらにインパクトは強烈だったのである。
そして、このファーラン・マリに留まらずセイコー製メカ・クォーツVK64を使ったクラシックなクロノグラフウオッチは、なぜか日本ではあまり多くないものの海外を見渡すとかなり多い。
ではなぜ多いのか。筆者も今回の新作含めて4タイプのメカ・クォーツクロノをすでにアウトラインでリリースしているが、やはり感じるのは大きく二つだ。ひとつは3針時計なら機械式でも比較的に低コストで作れるものの、クロノグラフになるとコストが数倍に跳ね上がってしまうため販売価格は10万円をゆうに超えてしまう。
もうひとつは分厚い自動巻きに対してクォーツならムーヴメント自体も薄いためケースサイズの自由度も高くなる。そのためデザインの幅も広がることから個性を出しやすい。つまり、小規模のマイクロブランドにとってはリスクが少なく、かつそのぶん独自性を発揮できるという点でとても扱いやすいからではないかと思う。
ということで、次ページでは、アウトラインの3機種と他ブランドのメカ・クォーツクロノモデル3機種の全6モデルを掲載させていただいたので、ぜひチェックしてみてほしい。
【写真】3万円台から手に入るメカ・クオーツ搭載古典顔クロノグラフ6機種!
菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa
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