Ichnos Watches(イクノス )、イタリア半島西方沖のサルデーニャ島(地中海で2番目に大きな島で四国の約1.3倍の面積がある)で、ピエルパオラ・カッソーニとアレッサンドロ・マリアーニによって設立された日本未上陸の独立系マイクロウオッチブランドである。
紀元前18世紀に栄えたヌラーゲ文明にオマージュを捧げて創設されたブランドであり、青銅器時代(紀元前18~8世紀)にサルデーニャ島全域に建てた丸い乾石の塔(領土と天然資源を管理するために使われたそうだ)から 時計デザインのインスピレーションを得て、サルデーニャ海のターコイズブルーをブランドのシンボルカラーとしている。
ピエルパオラは若い頃から時計に魅了された時計愛好家であり、2014年に海水や腐食性、圧力に強い時計に特化したYouTubeチャンネル“アンダーシー・タイム( Undersea Time )”を立ち上げたことでも知られており、同チャンネルでは一般的な流通ルートでは入手困難なマイクロウオッチブランドも幅広く紹介している。
ピエルパオラは、無数の高品質時計ブランドを紹介したことで得た経験から、自身のマイクロウオッチブランドを立ち上げようと考え始める。 彼の夢は、陸と海の双方で豊かな歴史を持つ彼の生まれ故郷、サルデーニャで時計ブランドを立ち上げることだった。 伝統的な腕時計の黄金期から受け継いだエレガントなデザインに、技術的な特徴を備えたスポーティな腕時計を思い描いていたそうだ。
夢が実現したキッカケは“アンダーシー・タイム”の視聴者であった若き起業家アレッサンドロ・マリアーニとの出会いだった。彼はイタリアで成功を収めた実業家であり、工業デザインに携わった経歴をもつ。
イクノスは歴史に強いルーツを持つブランドであり、1960年代から70年代に製造された名作からエッセンスを取り入れた魅力的なモデルを生み出している。今回はピエルパオラの時計に対する愛と造詣の深さ、アレッサンドロの工業デザインの知見が生み出した、二つのモデルを紹介する。
Ichnos Watches(イクノス )
サント・ステファノ
最初に紹介する サント・ステファノは、アンティークのスーパーコンプレッサーダイバーウオッチに敬意を表したコレクションだ。手首を包み込むように湾曲したケース、ケースから突き出たドーム形風防が特徴となっている。
文字盤はオレンジと鮮やかなネイビーブルーで彩られ、立体的なインデックスが配置されている。 インナーリングには分積算計と重なる、ダブルNDL(無減圧限界)時間目盛(厳密にはメートル表示)と減圧時間目盛がイタリア語の頭文字で表示されている。
ケースサイズは直径 42mm、厚さ9.8mm。316Lステンレススチールケースに無反射加工を施したサファイアクリスタル風防を設置。ねじ込み式リューズを備え200m防水を確保している。 ムーヴメントはスイス製、セリタ SW200を搭載。スーパーコンプレッサーテクノロジーを搭載し Seacult 社製のラバー製ダイバーベルトが付属。販売価格は1149ユーロ(日本円で約18万6000円)。
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Ichnos Watches(イクノス )
レナ・ディ・レバンテ
次に紹介するコララーロは、古代の運河漁師にオマージュを捧げた時計。 技術的に400mの水圧に耐えることができ、フリーダイバーや潜水士にとって理想的なパートナーに仕上げられている。 針とインデックスには BGW9 /オールドラジウムの蛍光塗料が塗布され、深海の暗闇でも視認性を確保。 澄んだ水の穏やかな動きに触発された文字盤は、高圧で印刷された油圧金型によって波の3次元形状を表現している。
直径40mm 、厚さ14.7mmの 316Lステンレススチールケースに無反射加工を施したドーム形サファイアクリスタル風防とねじ込み式リューズ、ヘリウム放出用の自動バルブを装備し、400m防水を備える。ムーヴメントは、ラ・ジュー・ペレ製の自動巻キャリバー G100ソワーニュ・バージョンを搭載。ステンレススチールのメタルブレスレットが付属し、販売価格1695ユーロ(日本円で約27万6200円)。
》Ichnos Watches(イクノス )
公式サイト
https://www.ichnoswatches.com
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/