琺瑯(ほうろう)、漆(うるし)などの伝統工芸を取り入れて、多様な文字盤表現を生み出してきた国産時計ブランド。ここ最近は、そこからさらにアレンジが加わり、伝統文化を題材に取り入れつつ、再解釈を施して独自デザインを生み出す傾向が見られるようになってきた。
多彩な文字盤が登場してきた理由のひとつが、型押し技術の進化だ。本来ならば職人の手作りで手間とコストがかかる装飾を、手の届く価格で製造することが可能になった。絹織物をモチーフに独自の型押し模様を開発したセイコー プレザージュの新作など、ひねりの利いたモデルが登場している。
今回は、伝統を受け継ぎつつ、新しい表現に挑戦する国産ブランドの個性派文字盤に注目。編集部が特におすすめの3モデルを厳選してみた。今後、どのようなユニークなアプローチが登場するのか、動向にも引き続き注目しておきたい。
【国産時計“こだわり文字盤”採用モデル_其の1】
SEIKO PRESAGE(セイコー プレザージュ)
クラシックシリーズ SARJ009:墨色(すみいろ)
日本の伝統的な工芸品や衣服が備える“用の美”に着想を得て、色彩や素材、質感などの美しさを表現した新シリーズ。文字盤は“絹(きぬ)織物”からインスパイアされており、3針モデルの文字盤は、高級感のある柔らかな絹織物の織目、オープンハートモデルはランダムに配置した放射状のパターンで生糸の質感を表現している。繊維そのものの色である“素色(しろいろ)”に加え、日本の伝統色を文字盤に採用。江戸時代に流行した、深みのある緑褐色の“仙斎茶(せんさいちゃ)”や淡い柿色の“洗柿(あらいがき)”、僧侶の衣服にも使われていた灰色がかった黒色の“墨色(すみいろ)”など、日本の伝統色を文字盤に採用しているのも魅力的だ。
【問い合わせ先】
セイコーウオッチお客様相談室
TEL.0120-061-012
【画像】全5モデル展開、日本の伝統色を採用した文字盤を拡大して見る
【国産時計“こだわり文字盤”採用モデル_其の2】
CITIZEN(シチズン)
シチズン シリーズエイト 890メカニカル
“第2種耐磁”性能と20気圧防水を備える新コレクション。文字盤には東京の夜景を象徴するビル群の四角い窓と、市松模様を組み合わせたシリーズエイト独自の装飾を採用。伝統的な市松模様のニュアンスを残しながら、モダンで新しいデザインを生み出した点が実におもしろい。
【問い合わせ先】
シチズンお客様時計相談室
TEL.0120-78-4807
【画像】全2モデル展開、伝統的なのに新しい市松模様文字盤を拡大して見る
【国産時計“こだわり文字盤”採用モデル_其の3】
ORIENT STAR(オリエントスター)
M34 F8 デイト
M34のフラッグシップモデル。文字盤にはペルセウス座付近の流星群をイメージした手彫りの型模様を施した後、エプソンが開発した光学多層膜技術で加工を施しており、ナノレベルの透明な膜を重ねて光の反射率をコントロールし、深く美しい青を表現。ブルーの色調を際立たせつつ、繊細な型模様を隅々までクリアに楽しむことができる。
【問い合わせ先】
オリエントお客様時計相談室
TEL.042-847-3380
【画像】型打ちとは思えない美しさ、全2モデル展開の文字盤をさらに見る
文◎Watch LIFE NEWS編集部
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