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【37mmで着け心地とデザインバランスが絶妙、“小顔”ツールウオッチ】ハミルトン“カーキ フィールド エクスペディション”実機レビュー

1892年にアメリカのペンシルバニア州ランカスターで創業し、130年以上にわたって高精度な時計を作り続けているハミルトン。1912年に“鉄道公式時計”となってその品質の高さが知られるようになり、17年からアメリカ陸軍へ軍用時計の納入を開始。第1次世界大戦での納入実績を受けて、第2次世界大戦でさらに軍用時計の製造を拡大し、40年代に100万個以上もの腕時計やマリンクロノメーターをアメリカ軍に納入した歴史をもつ。

現在はスイス製の本格時計として幅広いユーザーの支持を集めており、ビジネスシーンにもマッチする“ジャズマスター”、エルヴィス・プレスリーも愛用した“ベンチュラ”など、多彩なコレクションを展開しているが、なかでもハミルトンを象徴するモデルとして人気を集めているのが“カーキ”シリーズだ。

米国における軍用品の調達規格、ミルスペック(MIL-W-3818B)の仕様に基づいて製造され、ベトナム戦争以降、米軍で広く採用された軍用時計を原点にするミリタリールーツのフィールドウオッチコレクションである。


【編集部撮り下ろし“カーキ フィールド エクスペディション”レビュー動画】

実機レビューで取り上げるのは、この“カーキ”シリーズの新基軸と言えるモデル、“カーキ フィールド エクスペディション”だ。23年にデビューしたハミルトンのなかでもかなり新しいモデルであり、“エクスペディション(遠征、調査)”というモデルが示すように、ミリタリーというよりも、アウトドアでのアクティビティーや冒険をコンセプトにしたアドベンチャーウオッチという印象だ。

37mm径と41mm径の2サイズ展開で、それぞれにブラック、ホワイト、ブルー文字盤にレザーベルトを組み合わせた仕様と、ブラック文字盤のブレスレット仕様という4モデルを展開してきたが、24年の新作としてNATOストラップ仕様と、ホワイト文字盤のブレスレット仕様が新たに登場。今回は、この新作モデルからコンパクトな“37mm”のモデルにフォーカスして、じっくり実機レビューしていく。


【今回実機レビューするモデル】

HAMILTON(ハミルトン)
カーキ フィールド エクスペディション 37mm

機能的で見やすいデザインなど、軍用ルーツの“カーキ フィールド”コレクションがもっている優れた部分を取り入れつつ、よりデイリーユースで着けやすいスタイルにアップデートさせた集大成的モデル。両方向回転式のコンパスベゼル、10気圧防水、最長80時間パワーリザーブを備えるCal.H-10を共通の仕様として、サイズは37㎜と41㎜の2種類を展開している。

【SPEC】
■素材:ステンレススチール
■ケース径:37mm、ラグの上下幅約44mm、厚さ約11.45mm、ベルト幅20mm
■防水性能:10気圧防水
■駆動方式:自動巻き(Cal.H-10)
■価格:NATOストラップは14万6300円、ブレスは16万5000円、レザーストラップは15万2900円

 【画像】NATOベルトとブレスで6種類、ブルー文字盤もかっこいい


【視認性抜群の“文字盤”をチェック】

米軍仕様のミリタリーウオッチから、5分刻みのミニッツトラック、大きめのアラビアインデックス、デイト表示なしのシンプルな3針を継承しつつ、フォントや針のデザインを変えて、カジュアルで着けやすいデザインになった印象を感じる。個人的な感想だが、時間の見やすさは、既存の“カーキ フィールド”コレクションを超えたかもしれない。

また、注目したいのがディテールの細かさだ。外周のミニッツリングを含めて文字盤はワンプレートのシンプルな仕様だが、表面にはサンドブラスト加工を採用。ルーペで拡大しないと明確に認識できない微細な凹凸を備えており、シンプルでありながら、豊かなニュアンスと奥行き感と質を生み出しているのだ。5分刻みで配置したミニッツトラック、時分針と秒針の先端にオールドラジウムカラーの夜光塗料が塗布されているが、ヴィンテージ感を演出するカラーリングも、サンドブラスト文字盤と相性が抜群に良い。

個人的に感動したのが、針とインデックスの距離感だ。高級時計でも針の先端がインデックスやメモリにリーチしていない残念なデザインが散見されるなか、時針がインデックス、分針と秒針は外周の目盛りにしっかりと到達している。デザイン的なバランスが良いのはもちろん、とにかく時間が見やすい。軍用時計のDNAを感じさせる“カーキ フィールド”コレクションならではの作り込みと言えるだろう。


【ソリッドなコンパスベゼルと堅牢なケースに注目】

ケースは直径37mmで、コンパクトだが小さ過ぎず大き過ぎず、サイズ感が絶妙。厚みのあるコンパスベゼル(ケースの厚さ11.45のうちベゼルが約3mm)が程よく存在感を発揮しており、ソリッドで多面的な造形が生み出す陰影が高級感を高めている。

なお、コンパスベゼルは簡易的なコンパスとしても機能を果たしてくれるので、念のため、使い方を解説しておこう。まずは、時計がなるべく平行な状態で時針を太陽の方角に合わせる。12時のインデックスと時計の真ん中が示す方向が南となるため、そこに回転式ベゼルの”S“を合わせれば東西南北の方位を知ることができるというわけだ。

日常生活で使うことはあまりないかもしれないが、アドベンチャーウオッチらしいツール感に、男心とロマンがかきたてられる人も多いことだろう。かくいう私もそのひとりだ。

“カーキ フィールド エクスペディション”は、ベゼル、ケース、ブレスレットを含めて、外装が徹底的にヘアライン仕上げで統一されているのも美点。筆者は汚れや小傷が目立ちにくいヘアライン仕上げが大好物なのだが、変に色気を出して鏡面仕上げを加えず、ヘアライン仕上げに絞り込んだ潔い姿勢に、男心がくすぐられてしまった。

また、面白いのがラグの裏面の仕様だ。ケースもブレスレットも徹底的にヘアライン仕上げにこだわりながら、なぜかラグの裏面だけ鏡面仕上げでピカピカに研磨されている。“裏地にこだわる江戸っ子の粋”を思わせる仕様だが、この“裏勝り”な作り込みは嫌いじゃない。

じっくり見ないと気がつないマニアックな仕様に所有欲が刺激され、“ここだけ鏡面!?”という謎の仕様に何だか愛着をもってしまった。ヘアライン好きな筆者だが、あえて高評価ポイントのひとつに加えておきたい。ケースの裏面はシースルーバック仕様になっており、最長80時間パワーリザーブを備える自動巻きムーヴメント、Cal.H-10の駆動を楽しめる。


【腕にフィットする快適な装着感】

コンパクトな直径37mmに加えて、ラグの先端までの上下幅で約44mm、厚さ11.45mmと、全方位的にちょうど良いバランスに仕上げられており、人間工学に基づいたデザインにより、手首で軽快な装着感を実現している。

肌にストレスを感じない柔らかい質感と適度な厚みを備えたNATOストラップも装着感は良好だったが、実際に装着して驚きを隠せなかったのがブレスレットモデル。削り出しのコマを組み合わせた3連のスタンダードな仕様だが、手首をしっかりホールドしてくれて、コマに重厚感があるので時計のヘッドとのバランスがとてもよろしい。

ここ数年でハミルトンは外装の品質を格段に高めているが、本作のブレスレットはコマとコマの間に程よい遊びを設けつつ、ガチャつきがないので手首に快適にフィットする。ケースとブレスレットを繋ぐフラッシュフィットの立て付けも隙間がなく良好で、ラグよりも少し内側からブレスレットが稼働するように設定されていることも、装着感を高めている要因と言えるだろう。


【総評:カーキ フィールド エクスペディション 37mm】

“カーキ”シリーズから優れたタフネス性能などを引き継ぎつつ、両方向回転式のコンパスベゼルを備えるなど新機能も搭載。デザイン面でもミリタリーテイストを適度に受け継ぎつつ、汎用性の高いモダンでカジュアルなスタイルを確立し、アドベンチャーウオッチとしてだけでなく、タウンユースとしても決まる精悍なデザインが魅力となっている。

軍用時計の名手“ハミルトン”の力量が光る満足度の高い仕上がりと言えるだろう。最長80時間パワーリザーブ、10気圧防水と優れた実用性も魅力だ。

価格は37㎜も43㎜も共通となっており、この満足感の高い仕上がりで、NATOベルトモデルが14万6300円。ステンレススチールブレスレットモデルは16万5000円。10万円台で機械式の実用時計を探しているならば、絶対に選択肢に加えておきたいモデルと言えるだろう。実機を手に取って見れば、この時計の価格以上の仕上がりを実感してもらえるはずだ。

 

【問い合わせ先】
ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン
TEL.03-6254-7371

 

文◎Watch LIFE NEWS編集部

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