Eska(エスカ)は1918年にシルヴァン・コッハーとその息子エルヴィンにより創業された老舗ブランド。80年代に休眠状態となったが、2019年にシニシャ・クネゼヴィッチとクリストフ・シェブルトンという、二人の時計コレクターがブランドを復活させた。
休眠前に製造されていたエスカのアンティークウオッチを複数所有している彼らにとって、この名高いブランドを復活させることは自然な選択だった。運命的なことにシニシャのイニシャルはエスカの創始者のイニシャルと一致している。
まずはエスカの歴史を振りかえってみよう。同ブランドは、1918年にスイスのビール / ビエンヌから約22kmにあるゼルツァッハで創業し、工房を構えていた。ビジネスは世界的に拡大しており、アメリカやブラジルにも時計を供給していたそうだ。37年にはゼルツァッハから約5km離れたグレンヘンに工房を移転。47年に父親が他界後も、エルヴィンはアメリカ、ブラジルで販路拡大し、オーストラリアとアジアにも進出するなど、事業を拡大し続けた。
エスカの代表作となったのが、50年代後半に販売されたダイバーズウォッチ、アンフィビアン600だ。ラジウム夜光を塗布した特大のインデックス、12時位置の上にあるパワーリザーブ表示、そしてアクリル製リングをインサートしたベゼルを特徴としていた。頑丈で耐久性のあるツールウオッチとして知られ、フランス海軍に納入されていたこともある。しかし、順調に拡大していた事業は70年代以降になると低迷し、多くのスイス時計ブランドと同様、エスカも80年代後半に閉鎖を余儀なくされた。
30年以上の歳月を経て、この名高い時計ブランドが復活したわけだが、シニシャ・クネゼヴィッチとクリストフ・シェブルトンが新生エスカのファーストコレクションのモチーフに選んだのが、アンフィビアン600だった。
“アンフィビアン250”と名付けられたファーストコレクションは、オリジナルのへのオマージュに彩られており、アイコニックな時計を現代的に再解釈して、50年代のダイバーズウォッチ黄金時代を掘り下げたモデルとなっている。
アンフィビアン250
アンフィビアン250は、夜行を塗布した特大のインデックスにより水中でも水上でも視認性が高く、50年代のオリジナルモデルの圧倒的なアイデンティティを受け継ぎながらアップデートが加えられた。ケースは。視認性と堅牢性を考慮して現代的に刷新され、オリジナルの38mmから40mmに拡大。大き過ぎず、小さ過ぎず、スポーツウオッチとしてバランスの良いデザインバランスを備えており、幅広い手首サイズに対応できる。
サファイアクリスタルをインサートした逆回転防止ベゼルはグリップ感を向上させるモダンな、コインエッジ デザインを採用。 文字盤の12時、3時、6時、9時位置には、ルミノバ夜光をたっぷりと塗布した特大のアラビア数字を配置し、それ以外のインデックスにはサンドイッチデザインを採用。ヴィンテージテイストを醸しつつ、現行モデルらしい高級感と優れた視認性を加えている。
【画像】再現度がすごい! オリジナルと復刻モデルの文字盤もケースを比較
ルミノバ夜光はオリジナルモデルに見られるエイジングしたラジウムの色と呼応するよう慎重にベージュのカラーリングを吟味し、ロリポップデザインの秒針の先端にはレッドのアクセントを加えた。このレッドのアクセントはサンドイッチデザインのインデックスの先端にも採用されており、文字盤にスポーティな雰囲気を与えている。
316Lステンレススチール製のケースは直径40mm、厚さ13.5mm。ドーム型のサファイアクリスタル風防、ねじ込み式リューズにより、防水機能は 250mを備えている。 ムーヴメントは 41時間パワーリザーブを備えた自動巻きのセイコーのCal.NH38を搭載。 トロピック・ラバーベルトに加え、サンドカラーのキャンバスベルトと2ピースタイプのNATOベルトが付属しており、オリジナルの防水トランスポートケース入りという満足度の高い仕様も魅力的だ。
2024年6月現在、エスカのウェブサイトでの販売価格は 1200ユーロ(日本円で約20万円)で、24年7月に配送開始される予定となっている。
》Eska(エスカ)
公式サイト
https://eska-watches.fr/en
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
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