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実機を見て久しぶりにグッときた通称サンダーバード。その第3世代は今おいくら?|菊地吉正の【ロレックス通信 No.255】

サンダーバードを象徴するベゼルのエンジンターンドモチーフとは

サンダーバードの象徴である5分刻みの目盛りが刻まれた双方向に回転するベゼル。古典的な味わいを強める魅力的な装飾だ

さて、このサンダーバードの愛称が付いたデイトジャストは1956年頃から2003年まで5世代にわたって製造。今回取り上げたのはそのうちの1959年頃から77年頃まで製造され、ロレックスの自動巻きメーヴメントの傑作と呼ばれる1500系のクロノメーター版であるCal.1565(65年からCal.1575に移行)を搭載する第3世代Ref.1625。約18年間と歴代サンダーバードのなかでは最もロングセラーとなったレファレンスだ。

当初はミラーダイアルにくさび形インデックスやドーフィン針など第2世代のRef.6609のデザインを引き継いだものも見られたが60年代からは写真のようなバーインデックスにバトン針というデザインに統一されている。

このサンダーバードの魅力は大きく二つあると思う。ひとつはデイトジャストと同じケースサイズが36mm径で着けやすい点。もうひとつは、古典的なエンジンターンドモチーフの装飾が施された双方向回転ベゼルが、適度に個性的でスポーティさも感じさせるなど飽きのこないデザインという点だ。

このエンジンターンとは、機械による装飾などの表面加工のひとつ。旋盤を使って金属の表面に細かい幾何学的な装飾を刻み込む加工のことをこう呼ぶそうで、球面でも付けられるため万年筆やライターなどにも良く使われる装飾とのこと。ただ、ロレックスの場合は都市伝説かもしれないが、航空機のエンジンに似ていることからこう呼ばれるようになったという説もある。いずれにせよサンダーバードの魅力はこの装飾によるところが大きい。

ラインナップは素材がステンレスに加えて回転ベゼルだけが18金ホワイトゴールド仕様のRef.1625/4、ベゼルとブレスレット中央のコマが18金イエローゴールド仕様のRef.1625/3(トップの写真)、そしてケースからブレスレットまですべて18金イエローゴールドのRef.1625/8の素材違いで3種類ある。

Ref.1625であっても1950年代に生産初期の個体やフルゴールドモデルは高額になるが、それ以外のコンビモデル系であれば70〜100万円で流通している。ここ数年でさらに高騰したアンティークのスポーツモデルに比べれば、値上がり幅はかなり少ないため狙い目なのではないか。

また、搭載する1500系の自動巻きムーヴメントも、基本性能が優秀なためいまなお実用できるうえにメンテナンスなどのランニングコストも高くない。その意味でも初めてのアンティークロレックスにオススメできるモデルと言えるだろう。

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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