OUTLINEニュース 小スライド 編集部セレクション 連載記事 @kikuchiのいまどきの時計考

【2万8800振動で4万円台】シチズン・ミヨタ製ムーヴ、意外と知らない8000系と9000系の違い|OUTLINEニュース no.148

コンプレダイバー1960。ミラーダイアル風のブラック文字盤のほかに、筋目が美しいネイビーのサンレイ文字盤がラインナップする

いゃ〜な梅雨の時期が近づいてきたということで、今回は“コンプレダイバー1960”について久しぶりに取り上げたいと思う。見出しにも書いたがこのモデルの最大の魅力は、機能もさることながら搭載する自動巻きムーヴメントが毎時2万8800振動のハイビートな高性能機でありながら5万円を切る価格だという点だ。

ただ、毎時2万8800振動と聞いても機械式時計が好きな方以外はほとんど何のことやらわからないのではないか。まずはこの点から説明したいと思う。

下に掲載したのはコンプレダイバー1960の裏ブタ側で、ご覧のようにシースルーバックのため中の機械が見られる仕様になっている。写真の下側にあるピンクのパーツが設置されている部分が心臓部だ。そこに輪になった金色の円形パーツが確認できるだろう。それが“天輪(てんわ)”と呼ばれるもので、その軸となる“天真(てんしん)”、そして天輪と天真を繋ぐアームなどから構成され、これをテンプと言う。大雑把にいうと常にこのテンプが回転往復運動することで時間を刻んでいくというのが機械式時計の仕組みだ。

コンプレダイバー1960の裏ブタはシースルーバックのためテンプの往復運動が見られる

振動数とはこのテンプが1秒間に何回往復したかを表す値。
例えば6振動といえば1秒間で左右に6回、すなわち3往復するということになり、毎時、つまり1時間(3600秒)で換算するとテンプが2万1600回振動するということになる。

主に採用される振動数は毎時1万8000振動(5振動/秒)、毎時2万1600振動(6振動/秒)、毎時2万5200振動(7振動/秒)、毎時2万8800振動(8振動/秒)、そして毎時3万6000振動(10振動/秒)だ。ただ、一般的なのは2万1600振動と毎時2万8800振動である。
この振動数は、時計の精度と関係が深い。なぜかというと振動数は高ければ高いほど時刻の精度が増すからだ。

テンプを、回転させて遊ぶ玩具のコマに置き換えてみるとわかりやすい。コマの回転数は早いほど姿勢は安定する。つまり、テンプも往復運動が早ければ早いほど安定し、高い精度が出しやすくなるというわけである。そのためスイス製高級機械式腕時計の多くは毎時2万8800振動の高振動化された自動巻きムーヴメントなのである。

【コンプレダイバー1960の詳細写真をもっと見る(10枚)】

古典的で落ち着いたデザインのため、ビジネスでもさりげなく着けて楽しめるアウトラインのコンプレダイバー1960

コンプレダイバー1960が採用するのは、シチズン傘下の外販用ムーヴメントメーカーである日本のミヨタ製である。同社の自動巻きには8000系と9000系の2タイプがあって、最大の違いは大きく二つ。

>>>次ページ「8000系と9000系の違いとは」

次のページへ >

-OUTLINEニュース, 小スライド, 編集部セレクション, 連載記事, @kikuchiのいまどきの時計考
-,

PHP Code Snippets Powered By : XYZScripts.com