機械式時計が復活を遂げた1980年代後半。その原動力となったのが復活した往年の名門であった。高級時計を代表するブランドとして知られているブレゲもそのひとつだ。
同社は天才時計師アブラアン・ルイ・ブレゲが創設した工房を原点としているが、実際には一時期休眠状態に陥っており、70年に経営権を買い取ったショーメにより、高級時計メーカーとして復活。その後、ショーメとともにPPR(現ケリング)に買収され、87年にインベストコープ、99年にスウォッチグループへ買収されるなど紆余曲折を経た歴史をもつ。
70年代後半からは時計師ダニエルロートの主導のもとでコンプリケーションモデルを製作していたが、90年代に入ると機械式時計市場の拡大にともなって実用時計の拡充を開始。50年代、フランス海軍航空隊に供給していた軍用時計を民間用にアレンジし、95年に発表されたタイプ20アエロナバルは、ブレゲのアイコンとして世界的な機械式時計ブームを牽引していくことになる。
BREGUET(ブレゲ)
トランスアトランティック アジェンダ
今回紹介するトランスアトランティックアジェンダは、99年に発表されたアエロバナルの派生モデル。アラーム機能を備えており、軍用クロノグラフから意匠と機能を継承したアエロバナルのコレクションとしては異色のモデルといえる。
ムーヴメントは81年にブレゲが傘下に収めたレマニア製のCal.579を搭載。アラームと時間表示、二つの機構をひとつのローターで巻き上げる設計になっており、自動巻きに加えて4時位置のリューズでアラームと時刻表示の手巻きも可能。
細かいディテールは画像ページを参照していただきたい。特殊な機構、見やすくバランスの取れたデザインに加え、わずか数年で生産終了となったため希少性が高いのもアジェンダの魅力といえるだろう。
文◎Watch LIFE NEWS編集部
【そのほかのニュースもチェック!】
■【ポストヴィンテージの名作に浸る】ホイヤーの人気モデル“オウタヴィア”の魅力を深堀り
■【昭和レトロな腕時計、ポストヴィンテージの名作に浸る】IWCの異色モデル“GSTアラーム”の魅力を深掘り
■【昭和&平成の隠れた名作:Vol.21】ロレックス “デイデイト”のバークベゼル