今回は通称サブマリーナーノンデイト(日付表示がないタイプを編集部ではこう呼んでいる)の旧型で1989年頃〜2011年までと約22年間も生産された2世代前のRef.14060について取り上げてみたいと思う。
14060の魅力は、何と言っても回転ベゼルがアルミニウム製のトップリングを備えたスポーツロレックス最後の世代であり、歴代モデルから続く雰囲気と味わいが残っているという点だ。
その後継機であるRef.114060からは、ムーヴメントはもちろん、ベゼルのトップリングもセラミック製になるなど中身だけでなく外装面の作りもかなり違うため雰囲気もガラっと変わってしまう。しかも中古の実勢価格も160万円台からとけっこう高額だ。
対して14060は 昔っぽい雰囲気が味わえる最後の世代で、ムーヴメントもシンプルな構造のためいまでも壊れにくい。実勢価格130万円前後のものであれば、普通に使えて初めての人にとっても安心して楽しめるためおすすめだ。
ということで14060について、まずはおさらい。約22年間に2度マイナーチェンジしている。
最初にリリースされたのは1989年のこと。アンティークのサブマリーナーで一番に人気が高いRef.5513の後継モデルとして登場。5513もそうであったように、自動巻きムーヴメントはクロノメーター認定を受けていないキャリバー3000が搭載された。
ちなみに、クロノメーターとはスイスの公的機関により精度の検査が行われ、国際的に定められた検定基準をクリアしたムーヴメントを搭載する時計にのみ表記が許される、高精度の時計であることの称号のことである。
その後、2000年になって1度目のマイナーチェンジが実施される。サブマリーナーデイトと同じく3100系で日付け機能のないキャリバー3130を搭載され、レファレンスナンバーはお尻に「M」が付いて14060Mとなる。この時点でもまだクロノメーター認証は受けていない。
そして07年になってようやく14060Mのムーヴメントもしっかりとクロノメーター認定を取得したものが標準搭載となり、その証として6時位置に「SUPERLATIVE CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIED」と2行で表示されるようになる。さらにケースとブレスレットを繋ぐフラッシュフィットも分離型から一体型となり、以降、14060Mとサブマリーナーデイト、16610との違いはデイト機構が付いているかどうかだけとなった。
つまり、14060には大きく3種類が存在するというわけだ。そのため、もし14060を狙うのであれば、以下に書き出した3タイプの特徴について最低限知っておくことが重要だ。
【画像】Ref.14060から現行までの4世代を写真でチェック!
[Ref.14060]
製造期間1989〜2000年|Cal.3000(クロノメーター無し)|インデックス夜光は1999年頃までトリチウム(6時位置に「SWISS-T<25」表記)、それ以降「SWISS」→「SWISS MADE」へ|現在の中古実勢価格110〜130万円台
[Ref.14060M]
製造期間2001〜2006年|Cal.3010(クロノメーター無し)|インデックスはスーパールミノバ夜光|現在の中古実勢価格110〜130万円台
[Ref.14060M]
製造期間2007〜2011年|Cal.3010(クロノメーター有り)|インデックスはスーパールミノバ夜光|外装もブラッシュアップされる|現在の中古実勢価格130〜160万円台
最後にポイントをひとつ。初期の14060を検討する場合は、インデックスの夜光素材がトリチウムかスーパールミノバかという点。トリチウムは経年変化で飴色になるため、時計好きには一目置かれる。ただトリチウムは1999年頃にスーパールミノバに変更されているためこの点は知っておいたほうがいいだろう。6時位置の目盛りに「SWISS-T<25」と表記されていればトリチウム、「SWISS」「SWISS MADE」はスーパールミノバだ。
また、14060Mの場合のクロノメーター認証の有無についてだが、ロレックスの場合は、クロノメーター認証を受けていないからといって精度が低いかというと、そんなことは決してないのでご安心を。