汗などで微量に溶け出した金属成分を体が異物と判断し、炎症などの症状を引き起こしてしまう金属アレルギー。金属に触れたからといって、すぐに症状が現れるとは限らず、アクセサリーや腕時計を着け始めてから1、2週間後に症状が現れることがあるので注意が必要だ。腕時計を着けたくても、この金属アレルギーのせいで不安だという人も少なくないだろう。
腕時計のケースやブレスレットに使用される定番素材のステンレススチール。錆びに非常に強い特性を備えた鋼材であり、主成分である鉄にクロム、ニッケルなどの物質を加えた合金のことだ。大まかにステンレススチールといっても、非磁性で加工性が高いオーステナイト系ステンレス、磁性があり食器類や台所用品などに使用されることが多いフェライト系ステンレスなどの種類がある。なかでも、時計に使用されるオーステナイト系のステンレススチールには304L、316Lなどのさまざまなものがあり、種類によってはアレルギーが起きやすいものと、起こしにくいものが存在する。
比較的安価な時計に使用されているのが“SUS304”(SUSは“Steel Use Stainless”の略で、通称“サージカルステンレス”と呼ばれる)であり、より腐食に強く、耐久性を向上させたものが“SUS316L”だ。これらのサージカルステンレスは金属アレルギーを引き起こしにくい素材だと言われているが、酸に弱く汗で溶け出しやすいニッケルが10%以上含まれているため、完全に安全とは言い切れない。
そこで注目してほしいのが、ロレックスのほか、いくつかの高級ブランドしか採用していない“SUS904L”だ。1985年に時計メーカーとしてロレックスが初めて採用したとされる、衝撃と腐食にも強い“904L”という窒素を含んだステンレススチールだ。しかしながら、金属アレルギーを引き起こすリスクのあるクロムなどを含有しているため、過信は禁物。あくまで腐食や酸、錆への耐性が高く、限りなく金属アレルギーを起こしにくい素材として考えるべきだろう。
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また、SUS304やSUS316Lステンレススチールであっても、DLCコーティング(素材の表面に硬い皮膜を作る加工技術)やテギメント加工(窒素を使用した浸炭加工で、素材そのものを硬化させる技術)がされているものであれば、汗で金属が溶けるといったことは起きにくい。どうしても不安だという方は、チタンやセラミックなど、別素材の時計の選択肢も増えているため、そちらを探してみてはいかがだろう。
文◎Watch LIFE NEWS編集部
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