いまでは当たり前となっている防水仕様の腕時計。世界初の防水腕時計は1926年にロレックスによって開発されたオイスターである。スイスのほかのメーカーが防水時計を作れるようになったのは、その20年以上も後となる50年代以降になってからだった。それほどまでに、完全防水時計を作るのは難しかったのだ。
では日本はどうだったのか。国内初の防水時計が販売されたのは1959年。発売当時は「つめたい水でも、あたたかいお湯でも、機械から完全シャットアウト!」というインパクトのあるキャッチコピーも話題を呼んだ。ただ、その防水性は風防の性質により4気圧程度であったようだが、その後クリスタル風防などを採用することで防水性能は向上していったようだ。
ところで、“防水時計”と“ダイバーズウオッチ”の正確な違いをご存知だろうか。時計界の人気ジャンルとして高い支持を得ているダイバーズウオッチだが、防水性能に関して正確な情報を知っているようで実はよく理解していないという人も少なくないはず。ここからは初心者でもわかる防水時計とダイバーズウオッチにおける定義と性能の違いを解説していこう。
まずは、ATM(アトム)やBAR(バール)などで示されている“気圧”表示と、“m(メートル)”表示の違いについてだ。水中では10m深度が増すたびに水圧が1気圧増えていく。そのため10ATMまたは10BARと、100m防水はほぼ同等と思っている人も多いが、実は正確にはこの二つは異なる。“気圧”による防水表示は、あくまでも静止状態で耐え得る気圧を示しているだけで、水中で動かした場合の防水耐性ではないのだ。
一方で“m”表示の場合、100m防水はそのまま100mまでの耐性と長時間の水中で使える防水性を備えているということになる。JIS(日本工業規格)では、この“気圧”表示と、“m”表示の違いをベースに、日常生活での使用を想定した“防水時計”と、実際にスクーバダイビングなどで使用することを想定した“ダイバーズウオッチ”の2種類にカテゴリー分けしていることも覚えておくと時計を選ぶ際に安心だ。
つまり、購入しようとしているダイバーズウオッチが、酸素ボンベを使うスクーバダイビングに使用できる本格的なものであるかは、この防水表示がメートル表示かどうかで確認できるというわけだ。また、バール表示であっても10BAR(10気圧)以上であれば、ヨットや水泳などの水上スポーツや素潜り(スキンダイビング)には使えるとされている。
ただ、これはあくまでもJIS(日本工業規格)基準。ISO(国際標準化機構)では、すべて“m”表示で統一されており、日本では“気圧”表示が適用される防水時計を“Water Resistant (ウォーターレジスタント)”、潜水用時計は“Divers(ダイバーズ) ”と分けて表記している。
ちなみに、一説によれば水道の蛇口から出る水の水圧は約1.5〜5気圧とされており、勢いよく水を出した場合はさらに圧力は高まる。日常生活用防水(2〜3気圧)程度では心もとないため、水を気にせずにデイリーユースで使用したいならば、最低でも水上スポーツでの使用を想定した日常生活強化防水(10〜20気圧)、安全性にこだわるならばダイバーズウオッチにカテゴライズされている空気潜水時計(100〜200m防水)を選ぶほうが良いだろう。
文◎Watch LIFE NEWS編集部
<参考文献>
・シチズン公式サイト>CITIZENのキセキ>パラウォーター
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