ここ数年の円安為替に加え、欧州を中心とした資材費、人件費の高騰によって、価格の急激な上昇が続いている高級時計界。ひと昔前まではメジャーブランドの時計でも20万円台~30万円台の予算で購入できるモデルがあったものだが、いまではほとんど見かけることがなくなってしまった。
時計好きとしてはなかなか悩ましい状況だが、その反面で、時計を製造する機械や技術の進歩により30万円以下の価格帯でも、数年前とは比べ物にならない品質とスペックを備えたモデルが散見されるようになっている。
この特集では、30万円以下の時計のなかから、確かな品質と魅力を備えたモデルを編集部が厳選し、ジャンルごとにクローズアップしていく。今回のテーマは“3針モデル”だ。
シンプルな3針で時計を選ぶ場合、意外に見た目の印象を左右するポイントになるのが秒針の配置。大まかに分けると、文字盤中央に時分秒針を配置した“センターセコンド”と、秒針を時分針とは別にインダイルに設置した“スモールセコンド”、二つに分類できる。
【スモールセコンドとは】
諸説あるが、スモールセコンドは20世紀以前の懐中時計時代から1950年代頃に広く採用されたデザインである。50年代以降に実用を重視した腕時計の需要が伸びていくなかで視認性の高い3針時計が主流になっていったとされており、スモールセコンドはクラシックな雰囲気を表現する機構のひとつとして採用されることが多い。近年はノモスのクラブ キャンパスなどのように、モダンなアレンジを採用したモデルも登場している。
レイモンド・ウェイル
マエストロ 2238
クラシック音楽や音楽家への賛美を表現したコレクション“マエストロ”。このモデルの最大の魅力と言えるのが文字盤の装飾だ。文字盤中央に古典的な波形、アプライドインデックスを配したアワーサークルに同心円のギョーシェ装飾を施し、クラシックなスモセコ文字盤に高級感を加えている。裏ブタはシースルーバック仕様になっており、搭載するセリタのCal.SW280-1をベースにしたCal.RW4280の駆動を観賞できる。
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ジーエムインターナショナル
Tel.03-5828-9080
エドックス
レ・ベモン ウルトラスリム
スイス時計製造の歴史と伝統を示すシックなクラシックウオッチ、レ・ベモンのスモールセコンドモデル。古典的なスモールセコンドをベースにしつつ、長めにデザインされたアプライドインデックスとバトン針を採用したことでモダンな雰囲気に仕上げられている。“ウルトラスリム”というモデル名が示すように、ケースの厚みを6mmに納めた薄型のデザインも特徴のひとつ。直径40mmで薄型のケースによって快適な装着感を実現している
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【センターセコンドとは】
50年代以降に3針時計の主流となったセンターセコンドはよりデザインのラインナップが豊富で、繊細な印象を醸すクラシックなデザインから、ラグジュアリースポーツ風のモデルまで、多彩なモデルから選択することが可能だ。3針時計のスタンダードデザインとして幅広く使用されており、“中3針”“3針”などとも呼ばれている。一見すると秒針を単独で配置したスモールセコンドのほうが複雑な構造のように思えるが、中心軸にある時針や分針と同軸上に秒針を配置するセンターセコンドは、ムーヴメントの構造が複雑なため、スモールセコンドよりも後年に開発され、1950年代以降に主流となったとされている。
キングセイコー
KSK キャリバー6R55モデル(チャコールブラック)
国産機械式腕時計の進化を牽引した1960~70年代のファッションに着想を得たという、アースカラーの文字盤が特徴的。ムーヴメントには、メカニカルムーヴメント“キャリバー6R55”を搭載。コンパクトな自動巻き機構をもちながらも、3日間(約72時間)のロングパワーリザーブ性能を実現。
【問い合わせ先】
セイコーウオッチお客様相談室
TEL.0120-061-012
シチズン シリーズエイト
870メカニカル
モダン・スポーティデザインの機械式時計ブランド、シチズン シリーズエイトのウレタンベルト仕様。搭載する自社製機械式ムーヴメントCal.0950はJISの“第2種耐磁”の強化耐磁性能(磁界を発生する機器に1cmまで近づけてもほとんどの場合で性能を維持することが可能)を備えており実用性も高い。
【問い合わせ先】
シチズンお客様時計相談室
TEL.0120-78-4807
文◎Watch LIFE NEWS編集部
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