これまで実用時計、ツールウオッチの分野でケース、ブレスレットの素材に採用されることの多かったチタンだが、ここ数年の間にブレゲのマリーン、ショパールのアルパインイーグルなど、ラグジュアリースポーツの分野でもラインナップを増やしている。
チタンが高級時計にも採用されるようになった要因としては、素材の進化が大きく影響している。かつてチタンといえば、グレード2といわれる純チタンが主流であったが、研磨によって質感を高められるグレード5チタンが出現したことで、チタンを採用するブランドが増加したのだ。工作機械が進化を続け、加工のノウハウが蓄積されたことも要因と言えるだろう。
今回は“グレード2チタン”に注目して、素材の特性を解説しつつ、狙い目のモデルを紹介していく。
【グレード2チタンとは?】
ピュアチタンという名称でも知られ、チタンウオッチ黎明期から採用されているのがグレード2チタンだ。銅の約1/2、鉄とステンレスの約60%という軽さに加えて、海水や塩水に強く、その耐食性は鉄や銅、アルミニウムなどの主要な金属より優れている(プラチナに匹敵)。肌に接した際にアレルギーを起こしにくいため、時計の素材としての実用性は高い。
純度が高いほどチタンの素材としての特性は高くなるが、反面で合金であるグレード5チタンやステンレスチールと比較して、表面硬度が低く傷が付きやすい(ピュアチタン は110~155HV、ステンレススチールは200HV、グレード5チタンは300HV)。また、粘度が高く熱伝導が低いチタンは、切削加工する際に熱が逃げず、切削の難易度が高いとされている。鏡面仕上げやヘアラインなど、時計として質感を高める加工が難しいのだ。
ボール ウォッチ
ロードマスター パイロットGMT ブラックMOP
2021年に登場したロードマスター パイロット GMTに、プレミアム感あふれるブラックMOP文字盤を与えた日本限定モデル。GMT針は、8時と10時位置のボタンにより、1時間単位で調整可能。グレード2チタンを採用しつつ、高度な加工技術により、鏡面仕上げの面取り、質感の高いヘアライン仕上げが施されている。
【問い合わせ先】
ボール ウォッチ・ジャパン
TEL.03-3221-7807
ボーム&メルシエ
リビエラ クロノグラフ チタニウム
マイクロブラスト仕上げを施した12角形のチタンベゼルが存在感を主張するリビエラ誕生50周年のアニバーサリーイヤーを飾る新作。色合いを統一したスレートグレーの文字盤、チタンベゼルのコンビネーションに、ケースとベゼルの間のゴールドトーンのリング、スケルトン針がエレガントさをプラスしている。
【問い合わせ先】
ボーム&メルシエ
TEL.0120-98-8000