2018年、ニルペシュ・ジョシとマーシー・アマルラージ夫妻によりインド第三の都市、ベンガルールで設立されたBANGALORE WATCH COMPANY(ベンガルール・ウォッチ・カンパニー、以下BWC)は、“21世紀のインド”からインスパイアされたストーリーを製品で表現する、独立系マイクロウオッチブランドである。
一般的なインドの世界観といえば、象や蛇使い、エキゾチックな神々、オリエンタルなモチーフだが、BWCは宇宙探査やIT関連産業、戦闘機を操縦する女性たちの物語を伝えている。 創業者のジョシとアマルラージはIT関連産業に従事していた時計業界の門外漢であったが、香港に赴任した際に高級時計の世界に魅了され、2017年にインド発祥の時計ブランドを立ち上げるために帰国したそうだ。
インドで本格時計ブランドを創設するためにジョシとアマルラージは長年テクノロジー業界で働いてきた知識を活かし、マイクロブランドの時計業界に必要なコネクション構築した。 BWCの時計はすべて、インドのバンガロールでデザイン、設計、組み立てが行われている。今後のインド時計界を牽引する、注目のブランドと言えるだろう。
今回はBWCのコレクションから二つの新作モデルを紹介する。
ベンガルール・ウォッチ・カンパニー
アポジ マンチヌス
アポジのマンチヌスは、インド宇宙開発50周年を記念したモデルである。月面探査のチャンドラヤーン2号のミッションである、月の南極付近にあるマンチヌス・クレーターを着陸地点とする月面探査計画にちなんで名付けられた。このモデルはBWCが独自に開発したセラスチールと呼ばれる素材から削り出したケースで、ハイグレードなスチールの堅牢さに加え、表面硬度に優れた素材である。
文字盤の6時位置にはフィンランドとスウェーデンの国境から出土された、満月を模した 9mm のムオニナルスタ隕石が埋め込まれている。4.5億年前の隕石と推測されており、独自の模様が神秘的な雰囲気を醸し出す。
ケースはサイズ40mmで厚さが12mmのステンレススチール製。風防はドーム形サファイアクリスタルで防水機能は100mとなっている。スイスのセリタ社製自動巻きムーブメントのCal.SW200-1を搭載しており、クイックリリース機能を備えた本革のベルトが付属している。 アポジには4種類のカラーバリエーションがあり、販売価格は9万2000~12万2000インドルピー(約15万6000円~20万6000円)。
ベンガルール・ウォッチ・カンパニー
マッハ1
次に紹介する“マッハ 1”は、BWCが伝統的なパイロットウオッチを現代的にアレンジしたコレクションである。 インドの航空業界の驚くべきバックストーリーを称えており、シルクスカーフというモデルは、航空業界で活躍するインド人女性へのオマージュを込めつつ、エアロブルームと名付けた文字盤色となっている。
モチーフとなったのはインドの伝説的なパイロットだ。1936年、当時21歳のサーラ・トゥクラルはインド人女性として初めて航空パイロット免許を取得。サリーを着てジプシーモス機の単独操縦した人物だ。現在、女性航空パイロットは世界平均の5%より3倍高いとされているおり、インドでは航空パイロットの15%が女性であると推定されている。
ケースは直径40mm、厚さ10.8mmのステンレス製。 風防はドーム形サファイアクリスタルで、防水機能は100mとなっている。ムーヴメントはスイスのセリタ社製自動巻きムーブメントのCal.SW200-1を搭載。クイックリリース機能を備えた本革ベルトが付属している。マッハ 1 には6種類のカラーバリエーションがあり、販売価格は8万3600 ~8万8600インドルピー(約14万1000円~15万円)。
》BANGALORE WATCH COMPANY(ベンガルール・ウォッチ・カンパニー)
公式サイト
https://www.bangalorewatchco.in/
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/
【関連リンク】
■北欧デザイン×スイス製、スウェーデンの本格時計、Tusenö【実機レビュー】
■ 英国ブリストル発の本格ツールウオッチ、家具デザイナーが手掛ける“アルキン”
■テキサス発、スイス製のアウトドアウオッチ“Seaholm(シーホルム)”に注目