時差のある二つの国の時刻を同時に表示できる機能を備えた「GMT時計」。近年の世界的なニーズの高まりを受けて、日本の汎用自動巻きムーヴメントを製造するセイコー とシチズン ミヨタも昨年その機能を装備した自動巻きを新たにラインナップに加えた。それに伴い今年になって世界中の様々な時計メーカーから、GMT時計の新作が続々と誕生している。今回はそんな新作を6機種を紹介する。
ただGMT機能と言われても一般的にはあまりなじみがない。そのため時計好きの方以外は何のことかわからないのではないかと思われるため、まずは「GMT機能」について簡単に解説する。
GMTとは“Greenwich Mean Time(グリニッジ・ミーン・タイム)”の頭文字を取ったもの。詳しくは記事最後にある関連リンク「“GMT機能”のGMTって何の略?」をご覧いただくとして、ここでは端的に紹介すると、ロンドンにあるグリニッジ天文台を“経度0”として15度ごとに制定された「時差」(図1参照)を活用することで、二つの国の時間帯を同時に表示させる時計の機能を指す。
このGMT機能を装備した時計は、24時間表示ベゼル(文字盤外周の場合もある)と第2時間帯を指し示すGMT針(針の先端に三角マークがついているもの)と呼ばれる副時針が、通常の時分針とは別に装備されるのが一般的だ。そして、この基本スタイルを確立したのがかの有名なロレックスのGMTマスターである。
ただ、24時間表示ベゼルとGMT針を備えており見た目は同じでも、それを動かすGMT機能付き自動巻きムーヴメントには2種類のタイプがあって使い方が大きく違う。つまりここが重要なのである。
ではどのように違うのか。ひとつは「時針操作型」。これは時針だけを単独で直接動かすタイプで、時分針に簡単に渡航先の時間を表示させられるため海外旅行に便利となる。
対してもう一方は「GMT針操作型」、GMT針を単独で動かしてベゼル上の24時間目盛りとで時差のある国の時間を指し示すタイプである。こちらは海外旅行というよりは、日本にいて海外とのやり取りをする際に確認する場合に便利なタイプである。
このように同じGMT時計であっても、実は操作方法によって使い勝手がだいぶ変わる。しかしながら、それは時計の見た目ではまったくわからない。GMT時計を選ぶ際はこの点をカタログの商品詳細などでしっかり確認することが重要なのだ。
さて最後に、今年の新作GMT時計の中から、日本製のGMT機能付き自動巻きムーヴメントを搭載した以下の6モデルをピックアップさせていただいた。加えて、それらのモデルが「時針操作型」なのか「GMT針操作型」なのかも記載している。ぜひ参考にしてもらいたい。
1、シチズン|シリーズエイト880メカニカル
2、セイコー|プロスペックス ダイバースキューバ
3、ツェッペリン|100周年記念シリーズ オートマティックGMT
4、アウトライン×チックタック|GMT-1950
5、ケンテックス|マリンGMT
6、セイコー 5スポーツ|SKXスポーツスタイルGMT
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