今年の中秋の名月は今日(9月29日)だということをご存じだろうか? つまり十五夜ということでちょうど満月なのだが、この記事を書いている時点の予報では、満月が観られそうな予報ではあるが果たしてどうか。
月といえば時計との関係もかなり昔から深かった。それを象徴するのがムーンフェイズ機構である。ここに取り上げた1980年代のデットストックの手巻きムーヴメントを使って製品化した時計“アウトライン・ムーンフェイズクロノ7768”の6時位置にあるのがそれに当たる。
ちなみに、ムーンフェイズ(Moon phase)を直訳すると“月の位相”となる。つまり“見かけ”である。余談だが、いまでこそ残念ながらほとんど描かれなくなってしまったが、この写真のムーンフェイズのように1990年代までは月の図柄に顔が描かれることがほとんどだった。そのためムーンフェイス(Moon Face)と勘違いしてしまう人も多いが、ムーンフェイズと濁るのが正しい。
さて、ムーンフェイズ機構とは月の満ち欠けを文字盤上で表現するためのものである。その歴史は腕時計の歴史よりもはるかに古く、16世紀にはすでに置き時計に出現し、懐中時計に装備されるようになったのは18世紀以降だ。
このムーンフェイズだが、役割自体は知っていても、実際にどのような用途で使われていたのかをご存じの人は少ないかもしれない。そこには月と地球との関わりで生まれる潮汐(ちょうせき)という現象が大きく関係する。つまり、海に関わりの深い人々の生活にはとてもあると助かるものだったのである。
月が地球の中心へ及ぼす引力と、地球表面に及ぼす引力の差によって生じる潮汐力。地球上でこれの影響を最も受けるのが海面である。潮汐力が大きくなり海面が盛り上がる現象を“満潮”、その反対を“干潮”と呼ぶ。そして1日の満潮と干潮の潮位差が大きくなることを“大潮”といい、その逆が“小潮”となる。
つまり、大潮と小潮を把握することは、海に関わる昔の人たちにとってはとても重要なことだったのである。特に大型船などは、それによっては座礁という重大事故を招きかねないからだ。また、この大潮・小潮は魚にも影響し、これによって居場所が変わると言われているため漁業に携わる人たちにとってもこれを知ることは生活をしていくうえでとても大切なことだったようだ。
そして、この大潮・小潮が月の満ち欠けと大きく関わっているのだ。満月と新月が大潮で半月が小潮、つまり大昔において大海原を航海していた船乗りたちはこの月の状態を見て判断していたと思われる。しかしながら月は常に見られるわけではない。それは雨などの天候にも左右されるからだ。そこで天候に左右されずに月の位相が把握できるムーンフェイズが考案されたと言われているのである。
デットストックで見つかった80年代の手巻きムーヴメントで
50年代風の古典クロノグラフウオッチとして商品化!
アウトライン・ムーンフェイズクロノグラフ7768は、ストップウオッチの機能であるクロノグラフに月の満ち欠けを表すムーンフェイズ機構が付いた高機能手巻きモデルだ。
最大のポイントは大きく二つ。ひとつはデッドストックとして偶然に発見された80年代のバルジュー社製手巻きクロノグラフムーヴメント、Cal.7768を搭載している点。もうひとつは、クロノグラフながらケースが36mm径と小振りなサイズという点だ。しかも限定17本という希少性も見逃せない。24万2000円
現在、残りが数本と僅少。当ウオッチライフニュースのオンライストアとセレクトショップのオンタイムの以下の2店舗にも置いている。実機が見たいという人はぜひ行ってみてほしい。
オンタイム銀座ロフト店 TEL.03-3561-0723
オンタイム渋谷ロフト店 TEL.03-5458-3076
◎参考文献:笠木恵司、並木浩一著「腕時計雑学ノート」(ダイヤモンド社)
【関連記事】
■デッドストックの手巻きで実現した36mm径の “ムーンフェイズクロノ”
■【通常のクォーツと何が違うのか?】時計好きも注目するSEIKOメカクォーツ!
■福島第一原発の処理水で知られる「トリチウム」。それによって逆に価値が上がるってホント!?
■【この再現度で4万円台】“OMEGA”ほか12社が製造した英陸軍向け時計を再現
■【ロレックス、オメガ、ブライトリング】伝説のクロノグラク、そのエピソードとは!