【ロレックスのサブマリーナーより先輩!?】ダイバーズウオッチの原点、ブランパンのフィフティファゾムス70周年記念「Act 3」が登場

2023年9月29日

スイスの高級時計ブランド、ブランパンがアイコニックなダイバーズウォッチ“フィフティファゾムス”の 70 周年記念、第3弾モデルを発表した。フィフティファゾムス 70周年記念「Act 3」と名付けられたこのモデルは、当時の主要軍隊で採用されていたMIL-SPECモデルにインスパイアされている。オリジナルモデルの41.3mm径のケースを忠実に再現した本作は、9Kブロンズゴールドをケースに採用し、555点限定モデルとして発売される。

フィフティファゾムスはダイビングをきっかけに生まれた時計だが、巡り合わせによってまったく違ったものになっていた可能性もあったようだ。当時、ブランパンの共同CEO であったジャン＝ジャック・フィスターは熱心なダイバーであった。彼がお気に入りの場所である南仏のカンヌでダイビング中に、突然空気が不足してた経験がきっかけとなり、ダイバーにとってスキューバダイビングのニーズに適合した時間計測器が不可欠であることを痛感したフィスターは、世界初の真のダイバーズウォッチ、フィフティファゾムスを製作することになる。

1953年発表の初代フィフティファゾムスは（手巻きムーヴメントよりもリューズパッキンの摩耗が少ない）自動巻き機構、（ダイビングの世界で求められる）耐磁性、10気圧以上の防水性、（視認性をよくするための）ダークな文字盤に際立つ大きな夜光マーカーなどを特徴としていた。二重の防水シールが施されたリューズ、裏ブタにある密閉システム（ケース固定時のOリングの変形を防ぐため）、ロック可能な回転ベゼルは特許を取得している。このモデルの機能、特徴、性能に目をつけた当時の主要国の軍隊（フランス、ドイツ、アメリカ、ノルウェーなど）は、コンバットスイマー向けにこの時計を採用している。

ジャン＝ジャック・フィスターは、防水性表示についても基礎を築いている。1957年に MIL-SPECウオッチ（この時計のバリエーションは、コレクターの間で最も希少で最も人気のある時計として知られている）の文字盤に採用されたこの防水性表示は、米海軍のモデルの仕様にも取り入れられている。そして、今回発表されたフィフティファゾムス 70 周年記念「Act 3」は、この時計へのオマージュを捧げたモデルなのだ。

フィフティファゾムス70周年記念「Act 3」

■Ref. 5901 5630 NANA。9Kブロンズゴールド（41.3mm径）。300m防水。自動巻き（Cal.1154.P2）。世界限定555本。442万2000円

【画像記事：フィフティファゾムス70周年記念「Act 3」を見る】

フィフティファゾムス 70周年記念の3番目に登場するこのモデルは、ひと目見ただけで、米海軍で使用されていた非磁性モデルにインスパイアされたものであることがわかる特徴を備えている。マットなブラックの文字盤は、防水性表示とスーパールミノバが塗布されたヴィンテージ風インデックスおよびダイビングスケール付きブラックのセラミック製逆回転防止ベゼルを装備。さらにオリジナルモデルと同じカラーコードを取り入れたバイカラーのNATOベルトが加えられている。これは海洋から回収した漁網から作られたもので、オリジナルモデルに直結する特徴がここにも表れている。

異なるのは、ケースに用いられた素材だ。記念モデルの原型となったMIL-SPECモデルがニッケルシルバー製であるのに対し、フィフティファゾムス 70 周年記念「Act 3」は、 9Kブロンズゴールドを採用。9Kブロンズゴールドは特許取得済みの合金で、37.5％のゴールド（ホールマークは9K）、50％のブロンズ（“ブロンズ”呼称の条件）、シルバー、パラジウム、ガリウムが含まれている。ピンクを帯びた色合いと美しい外観を持つこのブロンズのユニークな点は、従来のブロンズとは異なり肌に直接着けることができること。ゴールドを加えることで酸化による緑青発生がなく、耐久性が改善されることは言うまでもない。この記念モデルは、ミリタリーウォッチの伝統を継承しつつも、現代に求められるデイリーな使用にも対応しているのだ。

ムーヴメントはCal.1154.P2を搭載している。30気圧防水の9K ブロンズゴールド製ケースに収められており、サイズは伝説のMIL-SPECモデルと同じ41.3mm径が採用された。このムーヴメントには、100時間のパワーリザーブを実現する二重香箱に加え、耐磁性を確保するシリコン製ヒゲゼンマイが搭載されている。この素材と独自の合金を使用し、ブランパンのムーヴメントでは初の耐磁性である1000 ガウス（ミルガウス）が確保された。当時のモデルでは、軟鉄製ケースに機構を収めることでしか磁気に対する耐性を実現できず、ムーヴメントを見ることができなかったが、非磁性ヒゲゼンマイを採用することにより、サファイアガラスのケースバックを通してムーヴメントを鑑賞することが可能になっている。ローターは、歴史的なローターからインスパイアされたフォルムが採用され、柔軟性を高めて衝撃への耐性を改善することを目的とした開口部を備え、回転の動きを想起させる渦巻き模様の仕上げが施されている。エングレーヴィングされた当時のロゴが、ヴィンテージ感を一層引き立てている。