シンガポール発、日本未上陸の独立系マイクロウオッチブランド、Orodeus(オロデウス)は、無限の余白を持つブランドだ。2017年に創設されたばかりの若いブランドなので老舗のメジャーブランドような語るべき歴史をもたないが、彼らの新しい冒険はとても興味深いバックグラウンドをもっている。
まず、オーナーの経歴が面白い。このブランドは自身の作品を製品と融合させたいと考えていたシンガポールのコミックアーティストにより考案された。時計業界のノウハウを持つ友人との偶然の会話から、SF、漫画、コミックを時計デザインと融合させるという、夢の探求が始まり、70年代〜80年代のSFカルチャーから多大な影響を受けた世代であるオロデウスの創業者たちは、時計デザインに重厚な宇宙時代の雰囲気を与えた。宇宙を旅行し、SFの世界を横断するオリジナルのコミックキャラクター、キャプテンODがデザインされたパッケージや、キャプテンODのアートワークを時計(OD-1)のデザインに取り入れているのも特徴となっている。
ブランド名の"Oro dies(オロデウス)"は、ラテン語の"horologium(時間)"と"deus」(神)"に由来する。オロデウスは今現在の時計業界を包み込んでいる伝統的な考え方から抜け出したユニークなコンセプト(自身のコミックキャラクターや世界観と時計を連動させるなど)で創造性の限界を押し広げ、手の届く価格で独創的なコレクションを展開している。今回はオロデウスから現在ラインナップしている二つのモデルを紹介する。
一つ目の時計、OD1 Time Odyssey(OD1 タイムオデッセイ)はレトロフューチャーをデザインテーマとしており、SFと現代的な時計デザインを融合させてている。 古典的なSFに登場する宇宙船からインスピレーションを得ている。時計のクロスバーはスタンリー・キューブリックの映画、『2001年宇宙の旅』に登場する"宇宙ステーション5"が原案となっている。このクロスバーはメタルプレートのオープンスペースと回転ディスクと連動し時刻を読み取る。従来の時刻表示方法ではなく、回転ディスクで時間と分を表しており、文字盤中央のクロスバーが回転し、12時位置の赤いラインで時間を読み取る仕様となっている。上から時表示、その直下には分表示となり、分表示は5分単位となる。
オーナーが自らデザインしたパッケージを見てもらえるとわかるが、主人公が武器に使っているのと同じデザインのローターが採用されているも注目してもらいたいポイント。アメコミ調のキャラデザインも素晴らしいタッチだか、この腕時計は、その世界から飛び出してきた何か特別な道具のような雰囲気を楽しめる。
ケースサイズは51.5mm(リューズ含まず39 mm)ラグの上下間は51.45 mm、厚さ13mmで風防はサファイアクリスタル。ムーヴメントは、自動巻きのミヨタのCal.82S0を搭載。OD1タイムオデッセイは5色展開で、販売価格は715米ドル(約10万2000円)。
次に紹介するのはレトロなヴィンテージ・ダイバーズウオッチ、OD2 Sea Odyssey(OD2 シー・オデッセイ)。このモデルはオロデウスのSFテーマを引き継ぎながら、フランスの小説家ジュール・ヴェルヌが執筆した冒険小説「海底二万里」に登場する、ネモ船長の冒険が最初のインスピレーションとなっている。デザインは1970年代の貴重なダイバーズウォッチに由来する。
ケースフロントは上下非対称で、レトロな雰囲気を醸しつつ、現在市場に出回っている他の多くのダイバーズウオッチとは一線を画している。リューズを4時位置に配置することにより、着用感、操作感を高め、さらにユニークなケースフォルムとのバランスを考慮しているようだ。12時位置側にラグがないため、特に手首の小さな方にも快適な着け心地が良いかと思われ、フュメ文字盤にサテン仕上げとポリッシュ仕上げのケースのコンビネーションで、スポーティでありながら洗練された雰囲気を醸し出している。ケースサイズは 41mm(リューズ含まず最大45mm)、ラグ上下間は43mm、厚さ13.5mm。ムーブメントはセリタ社製の自動巻き、Cal.SW200-1を搭載。ドーム型サファイアクリスタル、ねじ込み式リューズ、200m防水機能を備えている。OD2 シー・オデッセイは3色展開で、販売価格は520米ドル(約7万4000円)。
》Orodeus(オロデウス)
公式サイト
https://orodeus.com/
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/
【関連リンク】
■【エクセルシオパーク、アクアスター、イエマ】復活を果たした古豪ブランド、狙い目の復刻モデル3選
■【4万円台。これはヤバイ】SEIKOメカクォーツ搭載クロノの最新作は70年代風のレトロな雰囲気と絶妙なサイズ感!|OUTLINEニュース no.87
■【マンネリ化する時計界に一石を投じる新勢力】“マイクロブランド”編集部が注目する6選