Horizon Watches(ホライゾン・ウォッチ)は、ウクライナ出身の時計デザイナー、フレッド・ベッカーがシンガポールの時計起業家、スギハルト・クスマディとのコラボレーションから2021年シンガポールで創設した、日本未上陸の独立系マイクロウオッチブランドだ。 時計業界のベテランであるベッカーは、フリーランスのデザイナーとして多くのマイクロウォッチブランドで時計のデザインを担当した経験をもち、ベッカー自身が時計ブランドを立ち上げようと考え始めたのは10年以上前のことだったそうだ。
ベッカーは、彼自身のビジョンに基づいたブランドを創設するのにあたって、「地底旅行」「八十日間世界一周」「海底二万里」などの名作を残したフランスの作家、ジュール・ヴェルヌの作品からインスピレーションを受けたという。小説から自分の中の夢想家を目覚めさせ、時計ブランドを立ち上げるという旅に出る勇気を与えてくれたのだと述べている。実際にホライゾンの時計を見てもらえれば、ジュール・ヴェルヌの作品からインスピレーションを受けたという彼のコメントが、より明確に実感してもらえるだろう。
まず紹介したいのは、ホライゾンが2021年に発表したダイバーズウォッチコレクションの第1弾、Nautilus(ノーチラス)だ。時計界の最高峰ブランドともいえるパテック フィリップの名作と同じモデル名を与えられているが、このモデルの名前とデザインは、ジュール・ヴェルヌの名作「海底二万里」に登場するネモ船長の潜水艦、ノーチラス号に由来し、ヴェルヌの作品から想起されるスチームパンクのエッセンスがデザインに盛り込まれているのだ。
ケースはベゼルとラグの内側部分と、ラグのあるケース下部で構成されている。 ダイアルはポリッシュ仕上げのセンターサークルとサテン仕上げのチャプターリングの2つのセクションに分かれており、ダイバーズウオッチには珍しい、アール・デコ調のデザインが採用されているのが大きな魅力となっている。象徴的なのがアワーマーカーだろう。サークルインデックスと3時、6時、9時位置のアール・デコ調インデックス、12時位置のマーカーはビクトリア様式のミニッツレイルウェイで、時針と分針のアローポインターとうまく調和している。 4時位置にカレンダー表示窓がアワーマーカーの一部として巧みに組み込まれているのも面白いポイントだ。
ノーチラスのケースサイズは42mm、厚さは14.1mm、ムーヴメントはセイコーの自動巻きキャリバー、NH35Aを搭載。ねじ込み式リューズ、ARコーティングのサファイアクリスタル風防を採用し、防水機能は300mを備える。ベゼルインサートはステンレススチール(ブラックPVD)製だ。 ラバーストラップが付属し、6色から選択可能。販売価格は594.71米ドル〜642.84米ドル(約8万4000円〜9万1000円)。
次に紹介するのはセカンドコレクションとなるPilgrim(ピルグリム)だ。ノーチララスと同じくジュール・ヴェルヌの作品をモチーフとしており、こちらは1878年に出版された小説「十五歳の船長」の捕鯨船・ピルグリム号に由来している。不慮の事故で15歳の青年が船長となり、航海する旅物語である。ピルグリムは2つのパーツからなるメインケースに機能性を備えたスーパーコンプレッサースタイルのダイバーウオッチだ。この時計は、ポリッシュ仕上げとサテン仕上げのコントラストを実現するために、表面仕上げの異なったパーツを組み合わせている。
12時、3時、6時、9時位置のアワーマーカーはアンティークウオッチに見られる台形フォルムのデザインで、ヴィンテージの雰囲気を演出している。前作のノーチラスでも採用されたホライゾンの特徴的なデザインだが、 3時位置にカレンダーを搭載している。一見すると台形インデックスに見えるが、この部分のみ文字盤をカットして日付ディスクが見えるようにデザインされており、文字盤のデザインとカレンダーを違和感なく調和させたデザインに思わずニヤリとさせられる。
ケースサイズは41mmケースで、厚さは12.4mm。 ムーヴメントはセリタ社製の自動巻きキャリバー、SW-200Aを搭載。二つのねじ込み式リューズ、ARコーティングのサファイアクリスタル風防を備え、200m防水を確保している。FKMラバーストラップが付属し、4色から選択可能だ。 2023年6月現在、688米ドル(約9万7000円)のプレーオーダー価格で予約を受付中で、9月より出荷開始予定となっている。
》Horizon Watches(ホライゾン・ウォッチ)
公式サイト
https://www.horizon-watches.com/
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/
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