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40周年を迎えたG-SHOCK(ジーショック)史に名を刻む、二つのマスターピース

G-SHOCK(ジーショック)といえば樹脂ケースというイメージが強いが、ここ数年は新たな外装素材を取り入れ、高級化を志向したラインが注目を集めている。その嚆矢(かぶらや)となったのがフルメタルケースを採用したGMW-B5000だ。

 

容易ではなかった“メタル化”への道のり

GMW-B5000はG-SHOCK誕生35周年の2018年にリリースされたモデルで、初代G-SHOCK“オリジン”DW-5000Cのデザインを踏襲しつつ、外装は全面的にステンレススチールを採用している。ステンレススチールの時計自体は別段珍しくはないが、耐衝撃構造をアピールしているG-SHOCKにおいては、内部構造を新たに見直して設計しなければならず、その開発は難易度の高いものだった。

1983年に発表されたDW-5000C(左)と、2018年に発表されたGMW-B5000(右)

G-SHOCKはムーヴメントや表示部に当たるモジュールをケースの中で浮かせるようにセッティングして、点で支える中空構造を採用している。この構造によって衝撃を分散しているのだが、剛性の高いステンレス素材は樹脂ケースに比べると衝撃がダイレクトに伝わりやすいため、耐衝撃性ではどうしても劣ってしまう。GMW-B5000ではこれを回避するために、モジュールとケースの間にファインレジン製の緩衝材を挟み込んで、アブゾーバーのような役割をもたせた設計が採用されているのだ。

ベゼルとモジュールの間に見える赤いパーツがファインレジン製の緩衝材だ

従来の2本足構造から、さらに耐久性を高めた3本足構造を採用する

また落下したときに最も衝撃が伝わって壊れやすいケースとブレスレットを接続する部分に目をつけ、ここを3本足構造として、連結パイプに加わる衝撃を分散させる構造を採用。さらにメタル製のブレスピースにディンプル加工を施した初号機の樹脂ベルトデザインを継承している。このディンプルはデザイン的なアクセントになっているだけでなく、耐衝撃性を高める役割も負っているわけだ。長年の耐衝撃性へのこだわりは、GMW-B5000のディテールにもきちんと息づいている。

 

 

■Ref.GMW-B5000D-1JF。SS(49.3×43.2mm)。20気圧防水。クォーツ (モバイルリンク、電波ソーラー)。7万7000円

ステンレス素材を用いたことで、時計としての質感は確実に向上し、従来のG-SHOCKならではのカジュアルさとは一線を画すスタイリングとなった。鍛造成形のステンレスケースは高級感があり、さらにハイレベルなサテンやポリッシュの加工によってフォルムのソリッドさが引き立ち、スーツなどに合わせやすい締まった印象を与える。まさに大人のためのG-SHOCKだ。その後はゴールドカラーやチタンケースなどにも派生して、よりグレードの高いG-SHOCKを求める層から人気を集めている。

 

【GMW-B5000とGM-B2100のバリエーションモデルを見る】

 

新たに生まれたもうひとつのマスターピース

さらにG-SHOCKのフルメタル路線は、GM-B2100というデジアナモデルにも発展している。このモデルは2019年に生まれたGA-2100のステンレススチールバージョンで、オリジンの八角形ベゼルを継承しつつも、より立体的なデザインを取り入れてスポーティブに昇華させている。

2019年に発表されたGA-2100(左)と、そのフルメタルバージョン(右)

そもそもG-SHOCKにおいては、アナログ針を採用すること自体、難しい設計と加工が要求される。デジタルでは不要だった針を駆動するためのモーターや歯車などを、小さなケース内に収めなくてはならないからだ。駆動系パーツはデジタルモジュールに比べると衝撃に対しても弱いため、これらを守るには高い技術力が求められる。さらに文字盤上の針やインデックスが強い衝撃を受けても飛ばないようにセッティングする必要もある。G-SHOCKのアナログモデル自体は1989年に初めてリリースされているので、すでに様々な技術は蓄積されているが、フルメタルともなれば従来モデルよりも一段階上の耐衝撃性が要求されるのだ。

GM-B2100においては、スクリューバックのケース、ブレスレット、ベゼルの嵌合などはGMW-B5000の耐衝撃構造を踏襲。ベゼルとケースの間には緩衝パーツとしてファインレジンを採用している。ケースはベゼルを鍛造加工した後に切削と研磨を重ね、複雑な形状を緻密に成形しており、アナログのフルメタルモデルにおいても耐衝撃性をキープしている。

見返しリングと一体成形されたインデックスは、樹脂製だが、メタルのような質感に仕上げられている

■Ref.GM-B2100D-1AJF。SS(49.8×44.4mm)。20気圧防水。クォーツ (モバイルリンク、ソーラー)。7万7000円

さらに樹脂を採用した文字盤は、アナログ表示を生かした立体感のあるデザインに仕上げられており、視認性を向上させると同時に、G-SHOCKらしいアクティブなテイストを強調。ベゼル天面に円周状ヘアライン、ブレスレットに縦ヘアライン、ベゼル斜面、ボタン、裏ブタはミラー加工と部位ごとに仕上げを使い分けることで、ぐっと高級な雰囲気に仕上げられている。

普段は見えない裏ブタもしっかりとミラー加工が施され、美観が追求されている

フルメタルG-SHOCKとして、オリジンの系譜を受け継いだGMW-B5000と、現代流のスポーツウオッチを新解釈したGM-B2100の2モデルがラインナップされていることは、ユーザーとしても選択肢が広がってうれしいところだ。いずれもビジネスシーンで違和感なく使えるスタイリングでありつつ、機能性も高いということで、いままでG-SHOCKにあまり興味がなかった人にも魅力的に映ると思う。さらに“若いころはよくG-SHOCKを使っていたけど、最近のモデルはあまりチェックしていなかった”という人にも訴求できそうだ。特にこれからの季節は、オトナ向けのスマートな夏向け時計として大いに活躍してくれるだろう。

 

【問い合わせ先】
G-SHOCK公式サイト

カシオ計算機 お客様相談室 TEL.0120-088925

【GMW-B5000とGM-B2100のバリエーションモデルを見る】

 

文◎巽 英俊/写真(時計イメージ)◎水橋崇行

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