マンシェロン(Mancheront)は時計、デザイン、機械、複雑な作品に強い関心をもった建築家のデラン・ウォンによって設立された、 オーストラリア・南東部に位置するシドニーを拠点とする日本未上陸ブランド。ブランド名の“Mancheront”は、フランス語で“袖”を意味する“mache”と“鍛冶屋”を意味する“forgeron”を組み合わせた造語で、古典的な時計製造と現代的なデザインを融合させたタイムピースを作ることを目標としている。
デラン・ウォンはイギリス、ロンドンのAAスクール(英国建築協会付属建築学校)で学んだ後、ロンドンとシドニーの一流建築事務所でキャリアを重ねて、イギリスの Wanda One Nine Elms、アメリカのPhiladelphia Comcast Tower、オーストラリアのNew Sydney Fish Marketなど、大規模プロジェクトで重責を果たした経歴を持つ。
時計製造の世界に足を踏み入れたきっかけは建築家になるはるか以前にあり、卒業祝いに父親からもらったヴィンテージのロレックスがその原点となる。ロレックスの複雑なディテールに魅了されて以来、時計に対する興味を心のなかで大きくさせていたデラン・ウォンは、親しい友人から時計ブランドの立ち上げの話を持ちかけられたことで、自分の建築技術をデザインへ落とし込んだ時計ブランドの創設を志すようになるのだ。
ウォンは建築家として業務をこなしつつ、夕方や週末を利用して、時計デザインに没頭。2021年11月にクラウドファウンディング大手のKickstarterで支援金を集めることに成功し、2022年12月にマンシェロンが誕生する。新興の時計ブランドは設計に外部の設計コンサルタントを雇ったり、サプライチェーンの調達に元請負業者を雇ったりする場合が多いのだが、マンシェロンは適切なパートナーを探すために世界中から数多くの工場を探し回り(32の工場を訪問したそうだ)、独自のサプライチェーンを構築。3D モデリング、レンダリング、アニメーション、店舗図面、写真、ビデオを含む時計のデザインプロセスを自社コントロールしており、部品は、香港、日本、スイスの高品質メーカーから調達し、スイスで組み立てられている。
マンシェロンのコンポーネントはスイスの提携組立業者に送られ、そこで細部に至るまで細心の注意を払って時計が組み立てられる。組み立てが完了すると、厳格な品質管理を受けてから、在庫確認のためにオーストラリアのシドニーの倉庫に出荷。注文が入ると、時計は最終的な品質検査を受けてから、化粧箱に丁寧に梱包され、シドニーの倉庫から世界220カ国のユーザーにDHL Expressで発送される。
【画像ギャラリー:ペイサーの操作方法とバリエーションをチェック】
マンシェロン(Mancheront)
ペイサー
“ペイサー”は5年の歳月をかけて設計・開発されマンシェロンのファーストコレクションだ。 ラグジュアリーと機能性を両立して時計のデザインで表現することを目指して開発されており、アスリートや医療関係者が使用できるパルスメーター(脈拍計)ベゼルを備えている。ペイサーは“コンテンポラリーでありながらクラシック”という、マンシェロンのデザイン哲学をディテールで体現している。象徴的なのが手首に幾何学的なシンフォニーをもたらす“リースベゼル”だ。親しみやすくも独特な外観である円形のシルエットを維持し、代わりにスパイラル構成のベゼルホルダーで個性を加えている。このスパイラル構成は、12回に及ぶ設計の反復(ケースは25回、文字盤は16回)とプロトタイプの製作から実現しており、操作性とオリジナリティを備えたユニークなビジュアルを両立している。
ケースは直径39.5mm、厚さは14.2mm、316Lステンレススチール製(ベゼルを含めると41mm)。エレガントな雰囲気を醸し出す様々な繊細な仕上げとなっており、ケースはラグまで円形ブラシが施され、傾斜を付けた面からはカーブを描くように垂直ブラシへと変化している。 リューズプロテクターとリューズには鏡面仕上げとなっている。 ケースバックは、六角形の花びらモチーフがエンボスされており、アイコニックなデザインに加え、身につけた際の快適さも確保されている。
ペイサーは、 ホワイトダイアルにスチールベゼル、ブラックダイアルにブラックベゼル、ブラックダイアルにスチールベゼルの3色展開。 すっきりとした文字盤にカレンダー機能、時刻、パワーリザーブ、すべて調和している。 ムーヴメントはミヨタのCal.9132(自動巻き)を搭載。サファイアクリスタル風防、ねじ込み式リューズを採用し、防水機能は100mとなっている。販売価格は、950オーストラリアドル(約8万6000円)。
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マンシェロン(Mancheront)公式サイト
https://www.mancheront.com/
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/
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