Van der Gang Watches(ヴァン・デル・ガング・ウォッチ)は、ワイベ・ヴァン・デル・ガングにより、オランダ北部にあるドックムで2002年に創設された、日本未上陸のマイクロウオッチブランドだ。
創業者のワイベは、精密機械工学のバックグラウンドを持ち、アムステルダムの南西36kmに位置するライデン市の機械工学の中間技術学校と精密技術者学校で教育を受けたキャリアをもっている。
1990年、ワイベは自身の会社エクザクト・ファインメカニカを設立。 航空宇宙、時計、医療、実験技術などの特殊業界向けに極小製品を開発・製造する会社で、その精密な製品の品質の高さと製品製造の知識と技術を応用して、2002年にヴァン・デル・ギャングの最初のモデル“オリジナル”を発表した。
2002年にオリジナルを発表後、クロノグラフ、クラシック GMT、レディース モデル、フリーガーとラインナップを拡充しているが、いずれも古典的な機構と装飾を盛り込んだ多機能モデルでありつつ、シンプルで見やすいデザインである点も魅力となっている。
ケースは自社で製造されており、1キロのステンレススチールの塊からワイヤー侵食技術を使用してケースのキャビネットを形成後、手作業による研磨、硬化処理、組み立てが行われている。1キロのステンレススチールブロックが完成時には18グラムになるという費用と時間のかかる製造方法だが、頑丈な鋼の塊からケースを製造することで、フォルムの自由が可能になり、シャープで緻密なディテールが完成されるそうだ。
また、ケースに加えてリューズも自社で製造しており、頑強な作りと、操作性が追求させている。クラシックな時計のデザインと調和する大きく平らなフォルムも時計好きの琴線に触れるポイントと言えるだろう。
文字盤はサプライヤーから供給を受けているが、自社でデザインと品質管理を徹底し、ロジウムメッキを施したアプライドインデックスの製造と手作業でのセッティングも自社で実施。ムーヴメントに関しては基本的にETAの汎用キャリバーを採用しているが、自社でムーヴメントをモディファイしており、クロノグラフやセカンドタイムゾーンの表示機構など、一部の機構については自社でパーツを製造して改良を加えている。
ヴァン・デル・ガング・ウォッチでは、2005年からセンチュリーカレンダー(2499 年まで機械的に日付を進めることができるパーペチュアルカレンダー搭載の時計)の開発に取り組んでおり、現在、実用モデルのテストが実施されているようだ。公式サイトの記述によると、現段階ではオランダの時計ブランドでセンチュリーカレンダーを開発、製造したブランドはこれまでにないため、このプロジェクトの実現により、ヴァン・デル・ギャングは歴史的な独自のカレンダー機構を備えたムーヴメントの開発、さらにそのムーヴメントの自社製造を実現した時計ブランドとなる。
今回は医療や航空宇宙産業の製品製造から生まれた、ヴァン・デル・ギャングのウォッチコレクションから、代表的な4つの時計を紹介する。
Van der Gang Watches(ヴァン・デル・ガング・ウォッチ)
クロノグラフ 20020
クロノグラフ 2002は、控えめな光沢を備えたシルバーの文字盤と、ムーンフェイズ表示、ブルースチールの針が美しいコントラストを見せるプチコンプリケーションモデル。
ケースは直径41mm、厚さ13.93mmの堅牢で硬質なステンレススチール製で、インハウスムーヴメント、Cal.クロノグラフ7753が搭載されている。両面無反射コーティングのサファイアクリスタル風防を装備。 960本の限定生産、販売価格は1万2400ユーロ(約179万円)。