10万とおり以上のコーディネイトが楽しめるカスタムオーダー、同価格帯の時計と比較しても格段に高い品質など、独自のビジネスモデルで支持を集めるKnot(ノット)。同社の最大の特徴と言えるのが、この自由度の高いカスタマイズなのだが、もうひとつ見逃せないのが、国産のハイビートムーヴメントを搭載し、ケースは歪みのない美しい面を作り出すザラツ研磨を取り入れて製作されているプレミアムオートマティックモデルだ。
日本製の品質にこだわるプレミアムオートマティックモデルでは、近年“ジャパンコンセプト”をテーマに日本の伝統工芸を取り入れたモデルを生み出しており、2018年と21年に会津塗伝統工芸士が手がける“本漆文字盤”のモデルをリリース。23年は会津塗伝統工芸士とのコラボレート最新作として“螺鈿(らでん)”をに取り入れたモデルを発表した。
螺鈿の“螺”とは螺旋状の殻を持つ巻き貝を表し、“鈿”には飾るという意味がある。つまり貝殻による装飾技法で、日本には奈良時代に中国から伝わったといわれている。現在も漆器や家具に多く使われているが、時計の文字盤に使われた例は少ない。
【画像ギャラリー:螺鈿(らでん)文字盤作り方とディテールをチェック】
今回のモデルでは螺鈿細工で広く使用される黒真珠の母貝となる海水貝を採用した限定版の“七色(なないろ)”と、シンプルな色味の淡水貝に漆を塗り重ねてシックなトーンを生み出した通常版の“墨色(すみいろ)”の2種類が用意されている。
それぞれ3針モデルとクロノグラフをラインナップしているが、いずれも細かく砕いた貝を職人の肌感覚で貼り付けつつ、螺鈿が外周に向かって変化していく計算されたグラデーションデザインが目を引きつける。文字盤の製作を担当しているのは、過去のコラボレートと同じく会津塗蒔絵の伝統工芸士として高い技術を誇る大竹信一氏。文字盤の製作はすべてが手作業のため、必然的に製造数はごく限られている。天然の貝を使用しているためひとつとして同じ模様がないという特別感に加え、製造数が限られるという点も付加価値を高める要素と言えるだろう。
【七色(なないろ)】
伝統的な螺鈿の輝きを堪能できる限定モデル
ATC-40SVJRBK-L
7色に輝きを放つ黒真珠の母貝を採用した限定シリーズ。文字盤はバランスや大きさを考えながら、漆を塗り重ねた文字盤に貝を貼り付けていくことによって完成する。外周に細かい貝を配置することで、美観を高めつつ、しっかりと視認性が確保されている点にも注目したい。
■時計:SS(40mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.NE88)。15万4000円。ベルト:藤豊クロコダイル。SFC-18NV。1万6500円(バックル別売り)
AT-38SVJRBK-L
■時計:SS(38mm径)。5気圧防水。自動巻き(MIYOTA、Cal. 9015)。9万3500円。ベルト:コードバン。SOC-18NV。8800円(バックル別売り)