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周りと差をつける10万円台の実用時計【アメリカ西海岸の注目ブランド、ブレモア(BREMOIR)を実機レビュー】

【ブレモア:文字盤をチェック】


 前述したように、ザ レキシントンは1930年に完成したニューヨークを象徴する建築のひとつクライスラービルからインスパイアされたアイコニックな意匠が特徴となっている。文字盤で個性を主張しているのが、アプライドのアラビアインデックスを配したアワーリングの外側に配置された三角形の夜光マーカーだ。


 この三角形のデザインはクライスラービルの尖塔のフォルムをオマージュしており、12時と6時はルミノバ夜光と多面カットされた楔形インデックス、それ以外はクライスラービルのエントランスドアにインスパイアされたインデックスと連動するようにルミノバ夜光を配置して構成されている。

 細部を見ると、アプライドインデックスのエッジの緩さ、ミニッツマーカーをはじめとした文字盤のプリントの簡素な質感など、価格なりの作りが目につくことも事実だが、アイコニックなモチーフをディテールに違和感なく落とし込んだ完成度の高いデザインは魅力的だ。ちなみに、分表示のマーカーは、エントランスの金属細工からインスピレーションを得てデザインされているそうだ。

 また、デザインに加えて、アプライドのアラビアインデックスとバーインデックスを鏡面、ミニッツリングと中央のサークルをマット、アラビアインデックスを配したアワーリングをヘアラインと、表示する要素に合わせてディテールの質感を変えたことで、デザイン的なアクセント加えつつ同時に視認性を確保。時分秒針も先端がそれぞれアワー、ミニッツ、セコンドのマーカーにリーチするように計算されており、時計の本分をしっかりと考慮した完成度の高いデザインに仕上げられている。


【ブレモア:ケースをチェック】


 文字盤と同じくケースもクライスラービルをモチーフにしたデザインを採用。まず目を引くのが、ポリッシュされた3段構造のステップベゼルだろう。これは7層から構成されているクライスラービルの尖塔からインスパイアされたもので、多層的で立体感のあるフォルムがアイコニックな存在感を主張する。ヘアライン仕上げのオーバルケース、鏡面仕上げのベゼルとのメリハリの効いたコンビネーションも魅力的だ。


 ラグの先端は約4mmと幅広なデザインなのだが、角を面取り(鏡面仕上げの部分)して正面部分(ヘアライン仕上げの部分)を約1.5mmに仕立てているため、実寸よりもシャープな印象を感じさせる。


 また、このラグの角に施されたファセットは、正面だけでなく横からケースを見た際にもデザインバランスを整える効果を発揮している。ラグは全体を含めると約6mmと厚みのあるフォルムなのだが、角を面取りしてサイドのヘアライン面を際立たせることで、重厚さとシャープな印象を兼ね備えたデザインとなっているのだ。


【ブレモア:ムーヴメントをチェック】


 裏ブタはサファイアクリスタルを設置したシースルーバック仕様。ムーヴメントを格納したミドルケースをオーバルケースにはめ込んだ2ピース構造を採用しており、オーバルケースは汚れが目立ちにくいヘアライン仕上げで統一されている。

 ムーヴメントは、フォッシル(FOSSIL) グループ傘下のムーブメントメーカーである、スイス・テクノロジー・プロダクション(Swiss Technology Production )のCal.STP1-11を搭載。ETA社のCal.2824-2と比較してもパワーリザーブが約6時間長い44時間、精度も1日にプラス0秒からプラス15秒に調整されており、汎用ムーヴメントとしては満足度の高いスペックと言えるだろう。


【ブレモア:装着感をチェック】


 ケースサイズは39mm、ラグからラグまでの上下幅は48.5mm、厚さ10.7mm(ベゼルを含む)、ラグ幅は20mm。通常、分厚いケースには見た目のバランスを考慮して厚みのあるベルトを装着することが多いのだが、前述したように、実寸よりもシャープな印象を感じさせる多面的なケースの造形により、薄く柔らかいカーフレザーベルトを採用しつつ良好なデザインバランスを確保している。


 手首に沿うようにボトムをカーブさせたケースのフォルム、薄く柔らかいカーフレザーベルトにより、装着感も良好だ。


【ブレモア:まとめのコメント】


 歴史的建造物や文化などからインスパイアされた時計は数多いが、モチーフとなった事物のエッセンスが薄いと個性に欠け、エッセンスが強すぎると色物キャラ的で子供っぽいニュアンスが強くなる。高級、カジュアルを問わず、モチーフのエッセンスをバランス良くとり入れたモデルは意外に少ないが、ブレモアは“クライスラービル”をモチーフにした意匠をふんだんに採用しつつ、クラシックスタイルのバランスの良いデザインに仕立てられている。


【問い合わせ先】
ブレモア(BREMOIR)公式サイト
https://www.bremoir.com


 

文◎船平卓馬(編集部)

 

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