新型コロナウイルスの世界的な蔓延によって、工場の操業停止や売り上げの減少など時計業界も大きな打撃を受けた。
そんな状況のなかだが、一方では富裕層を中心に希少価値が高く個性もある高価格帯モデルのセールスが非常に好調だ。ドイツのチュチマ グラスヒュッテもこうした恩恵を受けて成長しているブランドのひとつである。
そしてこの度、日本を重要なマーケットのひとつと捉えているチュチマは、ブランドの魅力を直接日本の時計愛好家たちに伝えるため、セールスディレクターであるカルロ氏が来日。タイトなスケジュールのなか、お時間をいただき、いろいろな話をうかがうことができた。
ーー一時はロックダウンが行われるなど、ドイツでも新型コロナウイルスが猛威を奮い、大変だったかと察します。チュチマも影響は少なくなかったですか。
「影響がなかったとは言えませんが、幸いなことにビジネス全体で見れば影響はそこまで大きくはありませんでした。というのもコロナ禍以降、“耐久性の高いプロダクト”を評価する傾向が高まっています。まさしくこれは、第2次世界大戦期にドイツ軍で採用された伝統的なフリーガークロノグラフをはじめ、昔から“スポーティで頑丈な時計”を手掛けてきたチュチマの得意分野です。また同時に、今日の富裕層は、“高価格帯の良い時計”が非常に人気があります。チュチマではグラスヒュッテに拠点を戻して以降、自社ムーヴメントを開発したハイエンドコレクションを展開していますが、コロナ禍以降、これも非常に好調なんです」
ーー日本では3針のパトリアの注目が高いですが、ほかにもミニッツリピーターなどの複雑モデルも展開されていますね。チュチマといえば“プロフェッショナルウオッチ”というイメージが強いですが、なぜこうした複雑モデルを手掛けようと思ったのですか。
「創業の地であるグラスヒュッテに帰還することは、創業者のクルツ博士、その後、会社を受け継いだ現オーナーの積年の夢でした。2008年に、この夢が実現した際、チュチマに伝統的に受け継がれてきた優れた時計知識と製造技術を改めて内外に示すことは、非常に大切なことだったのです。そこでマスターウオッチメーカーのロルフ・ラング氏(独立時計師マルコ・ラング氏の父)監修のもと、数年の歳月を掛けて開発したのが、ミニッツリピーターモデルの“オマージュ”と、フライバッククロノグラフモデルの“テンポストップ”です。製造コストを度外視した最高品質の複雑時計を完成させたことは、我々にとっても大きな誇りです」
ーー今回の来日は、こうしたハイエンドモデルのニーズの高まりを受けて、プロダクトの魅力を直接伝えに来たとうかがいました。日本のユーザーと直接お話ししてみていかがでしたか。
「今回カタールとシンガポールにも行ってきたのですが、そのなかでも日本は、時計の知識が非常に深い方が多いという印象を受けました。テクニカルな話も多く出ましたし、またお客様からも様々なご意見をいただき、私としても参考になることが多かったです。こうした時計愛好家に評価していただけるのは、ブランドとして非常にありがたいことであり、うれしいことです。実はパトリア デュアルタイムの新作も、発表はまだ先の予定だったのですが、日本の愛好家たちの反応が知りたくなり、思わず披露してしまいました(笑)」
日本においてチュチマを取り扱いは、まだそこまで多いとは言えず、実物を目にしたことのあるユーザーは少ないだろう。しかし、手間と時間をかけて真摯に作られるそれらモデルは、一部の時計愛好家たちの心を確実に掴んでいるようだ。
【問い合わせ先】トラストゲインジャパン TEL:03-6810-9305
公式サイト:https://www.tutima-japan.com/️
【その他のニュースもチェック!】
■【新作時計ニュース】チュチマ グラスヒュッテ|伝統を継承するパトリア最新作は、好評を博したブルー文字盤を与えたゴールドモデル!
■【20万円台で狙える!】高級感を兼ね備えたチュチマのハイスペックダイバーに注目
■【新作時計ニュース|ローマン・ゴティエ】ブランド初となるメタルブレスモデルが登場
取材・文◎堀内大輔(編集部)/写真◎加藤峰暁