A.時計を様々な向きにした際、重力で生じる精度誤差のこと
腕の動きによって、腕時計は水平や直立など様々な向きで使用される。
この腕時計の向きが変わった状態では、ムーヴメントへの重力のかかり方が変わるため、精度も微妙な影響を受ける。この重力のかかり方の違いで生じる精度の誤差を“姿勢差”と呼ぶ。
なおスイスの公的独立機関“スイス公認クロノメーター検定協会(Controle Offiiciel Suisse des Chronometres)”、通称C.O.S.C.(コスク)による認定試験にもこの姿勢差が重要視される。
垂直にしてそれぞれ6・9・12時位置を下側に、水平にして文字盤を上向きと下向きにした五つの姿勢差と、8°C、23°C、38°Cの三つの温度差の条件下で15日間にわたって精度をテスト。その誤差が認定基準値をクリアしていなければならないとしている。
腕の動きによって時計の向きが変わることによる時間のずれを解消するトゥールビヨン
またキャリッジと呼ばれるところの中にテンプ、ヒゲゼンマイ、脱進機といった精度を司る時計の心臓部を収納し、主に1分間かけて1回転させることで、姿勢差による重力の影響を軽減することを目的に開発されたのがトゥールビヨンである。
文◎松本由紀(編集部)
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