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【アンティーク時計傑作選】オールドパテックの名品“トロピカル”の由来は?

 時計愛好家垂涎の的になっているアンティーク パテック フィリップの名品、Ref.2526。このモデルはやや黄色味を帯びた陶製文字盤を採用していることが特徴で、“トロピカル”という愛称で知られている。その名の由来はいくつかの説が存在しているが、なかでも最も有力なのが“日差しの強い熱帯での使用を考慮し日焼けしない陶製文字盤を採用した、という製作秘話に由来する”というものだ。
 ちなみに今日、パテック フィリップでは、防水性、牽引耐性、紫外線耐性に優れたハイテクコンポジット素材のベルトに、この“トロピカル”の名を与えている。厳しい環境下でも劣化しにくいという点では、先の陶製文字盤と共通するため、“トロピカル”の由来はあながち誤っていないのかもしれない。

■Ref.2526。K18PG(35mm径)。自動巻き(Cal.12-600AT)。1950年代製

 この陶製文字盤は半永久的に艶やかな質感を保つという特性をもっていたが、製造コストも決して安くはなかったようだ。またRef.2526は、同社初の自動巻きムーヴメントCal.12-600ATを採用していたこともあって、あまりにコストが掛かったためか、ケース素材違いを含めても2700本程度しか製造されなかった。この希少性の高さも愛好家を引きつけるポイントになっている。

パテック フィリップ初の自動巻きムーヴメントCal.12-600AT。1953年のリリースと、他社に比べると後発だったが、全回転ローター、ラチェット式による自動巻き機構の設計は卓越していた。毎時1万9800振動

 

【このブランドも展開していた⁉︎ 希少な“トロピカル”】

 

文◎堀内大輔(編集部)/写真◎笠井 修

 

 

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