小スライド 意外と知らない時計知識

【Q123】“永久カレンダー”は何がすごいのか

A.大・小の月に関係なく、カレンダー調整を必要としない

 同企画にて、世界3大複雑機構である“トゥールビヨン”と“ミニッツリピーター”について取り上げた。今回は残る“永久カレンダー(パーペチュアルカレンダーとも呼ばれる)”について紹介しよう。

 通常のカレンダー機構の場合、時針が2周するとカレンダーディスクがひとつ進み、月末31日の次は自動的に1日に戻る。
 だが1カ月の日数が31日に満たない2、4、6、9、11月の小の月には、翌月の1日まで日付けをリューズ操作で進める必要がある。
 永久カレンダーはこの操作を不要にしたもので、毎月の日数の違いや閏年の調整など、すべて自動的に行ってくれる。
 なお現在発売されている永久カレンダー機能は、西暦2100年まで無調整のものが多い。

 永久カレンダーはアブラアン-ルイ・ブレゲが17世紀に考案したという説が有力だが、その詳細は明らかになっていない。
 しかし、ブレゲが製作した“マリー・アントワネット”と呼ばれる懐中時計、No.160には永久カレンダーが搭載されていた。この時計は彼の死後4年後、1827年に完成している。
 その後1927年に、パテック フィリップが永久カレンダーを搭載した初の腕時計を製作している。

写真は、現存するデッサンと資料のみをベースにして製造されたNo.160の復刻版であるNo.1160。時分秒のほかパーペチュアルカレンダー、イクエーション(均時差)、ミニッツリピーター、バイメタル温度計、パワーリザーブインジケーター機能を搭載する

 

<参考文献>
・ブレゲ公式サイト>ブレゲブランド>マニュファクチュール>マリー・アントワネット

 

文◎松本由紀(編集部)

 

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