Pekhor(ペコール)は、スイスで創設された日本未上陸の独立系時計ブランド。ブランド名はチベット語の2つの単語を組み合わせたもので、” Pema(ペマ)”は蓮や睡蓮を意味し、”Khorlo(ホルロ)”はチャクラ(チベット仏教で人間のエネルギーの中枢とされるもの)を意味している。
ペコールが拠点を構えるのは、スイスのチューリッヒから南東に約40kmのチューリッヒ湖の湖畔。都会の喧騒から離れた、最適な環境で、チベットの文化から影響を受けたしたデザイン、伝統的なスイスのクラフトマンシップを融合させた時計を生み出している。
ペコールのチームは、時計開発者のシラノ・デバンシー、時計職人のハインツ・ヒューゲントブラー、創業者のツェテン・ドルジェ・ギャルズールで構成されている。
時計の開発とあらゆる技術的課題の解決を担当しているデバンシーは、オメガのトゥールビヨン開発部門の元責任者という肩書を持ち、
著名なスイスウオッチブランドとコラボレーションで設計を担当していた実績をもつ。
ヒューゲントブラーはオメガの販売社員を15年以上にわたって教育してきた経験を有し、オメガでの勤務を経て、チューリッヒ湖畔に自身の”アトリエ・ドゥ・マニュファクチュール”を設立した。
創業者のギャルズールはチューリヒ湖畔の町、ラッパースヴィール=ヨナで生まれ育ったスイス系チベット人で、投資運用と企業家としての経歴を持ち、時計とクラフトマンシップに深い感銘を受けた。
ギャルズールは自身のルーツでもある極東の文化や哲学に興味を持ち、スイスのクラフツマンシップとチベットの文化を融合を、ペコールのコンセプトに取り入れている。今回は、そんなペコールのウオッチコレクションから、代表作であるハーモニアスを紹介する。
【編集部の注目モデル】
Pekhor(ペコール)
PK.1 ハーモニアス・フレンズ
PK.1 ハーモニアス・フレンズは、蓮の花をイメージしたケースデザインが特徴となっている、ペコールのフラッグシップコレクション。
ポリッシュ仕上げとヘアライン仕上げを組み合わせたステンレススチールケースは、優美なフォルムを備えており、この独特のフォルムと防水性を両立させるために、防水容器(インナーケース)の上から、ラグを一体化した外装を被せる特殊な構造を採用しているそうだ。
ケースの造形に加え、ダブルOリングを組み込んだ機密性に優れたネジ込み式リューズにもチベット文化を取り入れており、トップに幸運、幸福、幸運、繁栄を象徴する伝統的なシンボルである”エンドレスノット”のデザインが施されている。
サンレイ仕上げもしくはミラーポリッシュ仕上げの文字盤は、センター3針にデイト表示というスタンダードな仕様。ダイヤモンドポリッシュとロジウムメッキを施したアプライドインデックス、丁寧な研磨、面取りの後にロジウムメッキが施された時針、分針、秒針、など細部の作りにこだわっており、シンプルでありつつ、高級感を感じさせる仕上がりとなっている。
時計の裏ブタには、お互いの存在を尊重し合うことのシンボルである”Harmonious Friends(ハーモニアス・フレンズ)”のレリーフがあしらわれている。
スイスで最も権威ある造幣局(1868年設立)のひとつで特別に鋳造されたメダルで、このデザインは、平和と調和の重要性を説くチベット伝統の寓話に由来する。
PK.1 ハーモニアス・フレンズはホワイト、シルバー、ブラック、ブルーの4色のバリエーションで構成されており、ホワイトとブラックの文字盤はミラーポリッシュ仕上げ、シルバーとブルーの文字盤はサンブラッシュ仕上げ。 各色60本の限定生産となっている。
ケースは直径42mmで、ステンレススチール製。ケース内部には、スイスのセリタ社製のSW-300を搭載している。
風防はサファイアクリスタルを採用しており、100m防水を確保。針とインデックスには、ブルーに発光するスーパールミノバ夜光が手作業で塗布されている。各色60本の限定生産で、販売価格は、2690スイスフラン(約39万9000円)。
2022年11月現在、ペコールのウェブサイトによると2番目のモデルであるPK.2が製作中で.近日中に発売される予定とのことだ。チベットとスイスが融合した時計に興味がある方は、チェックしてみてはいかがだろうか。
》Pekhor(ペコール)公式サイト
https://www.pekhor.ch/
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/