A.音で時刻を知らせる機構のこと
トゥールビヨンや永久カレンダーと並んで世界3大複雑機構のひとつに挙げられる“ミニッツリピーター”は、音で時刻を知らせる機構のこと。
1時間単位、15分単位、1分単位で、それぞれ異なる音を組み合わせて時刻を教えてくれる。
機構としては簡単に言えば、ゴングとハンマーが内部にセッティングされており、大きなハンマーで時、もうひとつの小さなハンマーで分を、その時刻の回数分だけ叩くことで、音によって時刻を知らせてくれる仕組みである。
ユーザーが時刻を知りたいときにケースサイドに設けられたプッシュボタンやレバーを押すことで、その時計に組み込まれたハンマーが鐘を叩く。
ちなみに分の単位までを、鐘を打つ数と音色で知らせるミニッツリピーターのほか、15分の単位で知らせるものをクォーターリピーターと呼ぶ。
ミニッツリピーターは1700年代に発明。置き時計に搭載されたといわれており、もともとは文字盤を目視できない暗闇でも時刻を認識できるように開発されたことが起源と言われている。
その後1800年代後半に、アブラアン-ルイ・ブレゲが鐘に当たるパーツをゴングに置き換えて、懐中時計へ搭載することに成功している。
写真はA.ランゲ&ゾーネのミニッツリピーターモデル。赤丸のハンマー打ち機構は、ケース9時側面に取り付けられたスライダーを操作すると高音と低音に調律された二つのゴングが時、正15分、分の数を打ち鳴らす
文◎松本由紀(編集部)
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