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【Q115】クロノグラフの“スプリットセコンド”とはどのような機能?

A.二つのタイム計測を同時に行うことができる

 前回の企画にてクロノグラフの機構のひとつ、フライバックについて解説したが、今回は“スプリットセコンド(フランス語でラトラパンテ)”という機構についてお届けしたい。

 スプリットセコンド機構の付いたクロノグラフとは、最初から計測用の2本のクロノグラフ秒針が用意されており、複数のタイム計測が可能になったものだ。
 2本のクロノグラフ秒針(そのひとつはスプリットセコンド秒針と呼ぶ)はスタートボタンを押すとそれが同時に動き始め、ストップボタンを押すとそのうちの1本が停止し、もう1本はそのまま運針を続ける。そしてもう1度ストップボタンを押すことで停止する。
 つまり1位と2位の走者のタイム計測や、ラップタイム計測を行うときなどに使う機構である。
 しかもスプリットセコンドボタンを押すことで一旦停止させた針が、動いている針の位置まで瞬時に移動。再びタイム計測させることができる。

 複数のタイム計測ができる機能性の高さゆえ、ムーヴメントにかかる負荷が非常に大きく、製造には高度な技術を要する。そのため現在手がけているブランドは高級ブランドでもごく一部のみだ。

 なおスプリットセコンド機構は1880年代に懐中時計で登場。その後腕時計に機能が搭載され、発売されたのは約30年後先である。

A.ランゲ&ゾーネのスプリットセコンドモデル。中央の時分針のほか、細長い針が2本あるのがわかる。通常のスプリット機構は、クロノグラフ秒針のみ2本を持ち、ラップタイム計測などが行えるが、本作ではさらに30分積算計(4時位置)、12時間積算計(12時位置)にもそれぞれ2本の針を持ち、長時間でもラップタイム計測を可能とした

 

<参考文献>
・A.ランゲ&ゾーネ公式サイト>マニュファクチュール>卓越した時計技法>ラトラパント機能 - https://www.alange-soehne.com/jp-ja/manufactory/art-of-watchmaking/rattrapante-mechanism

 

文◎松本由紀(編集部)

 

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