いまやほとんどのモデルが定価を超えるプレミアム価格となってしまったロレックスだが、2014〜15年頃までは並行輸入店においてデイトナ以外は国内定価以下で普通に買えていた。いまとなってはかなり以前からプレミアムのように感じてしまうが、実はそんな昔の話ではないのである。
それがなぜプレミアム化という現在の状況に陥ったのか、ということをこれまでも経済紙などからの取材でよく聞かれたが、あくまでもコロナ以前の日本市場だけに限定した動きとして端的にいえば、14年頃からはじまった日本での流通数の激減(アジア圏での中国の台頭による影響と言われている)と、そこに18〜19年のインバウンドによる需要増がさらに拍車をかけたことがひとつの大きな要因として挙げられる。
そんなプレミアム化が著しいロレックスだが、ここ2年あまりで恐ろしく実勢価格が高騰したモデルがある。みなさんもご存じのデイトナのプラチナモデルとオイスターパーペチュアルのターコイズブルーである。コロナ下で急激に高騰したこの2モデルの現状について触れみたいと思う。
誕生50周年記念に登場したプラチナ製デイトナ
デイトナ。Ref.116506
デイトナ誕生50周年を迎えた2013年に登場したデイトナ初のプラチナ製モデルである。チェスナットブラウンのセラクロムベゼルにアイスブルー文字盤という上品な雰囲気のするスペシャルモデルだ。文字盤に使われた淡い色合いのアイスブルーは、以前よりデイデイトに採用されているものでプラチナ製モデルにのみ採用されている。
2019年には定価と同じぐらいで買えていたが、製造数が極めて少なく、その希少性からぐんぐん高騰し、最もピークだった2月頃には2600万円というとんでもない高値となった。現在は2000万円前後のようだがそれにしてもいまだにものすごい金額である。ちなみに公式サイトには為替の影響が大きいからか、前からそうだったのかはわからないが、国内定価は表示されていない。参考までに9月の値上げ前の定価だと801万3500円である。
カラーブームの火付け役となったターコイズブルーのオイパペ 41
オイスターパーペチュアル 41。Ref.124300
コロナ下の2020年9月に実施されたオイスターパーペチュアルのリニューアルに伴って、シルバーやブラックなど通常のカラーに加えて、ターコイズブルー、グリーン、イエロー、レッドといったビビッドカラーの文字盤がラインナップされた。このロレックスらしからぬ展開に市場は反応。賛否は逆に注目度を高める結果となり、特に41mm径の大振りなモデルがラインナップされたこともあって世界的な争奪戦となった。
特にターコイズブルーは顕著で、当時の日本定価62万1500円に対して今年2月のピーク時には500万円台半ばまで高騰。その後、社会情勢に起因して一時は下落したものの、41mmサイズのビビッドカラーだけが廃番となったことから再び高騰し、一時600万円超えに。そして現在は500万円前後で推移しているようだが、定価の約7倍という異常な状況には変わらない。なお、36mmサイズのオースターパーペチュアルでは現在もターコイズブルー含めカラー文字盤は継続されている。
【お知らせ】ハニカム文字盤×ターコイズブルーの最新作!
人気ショップ「チックタック」とのコラボ企画として開発した“アウトライン・369ブルースペシャル”。ウオッチメーカーズで先行予約受付中
最後にお知らせをひとつ。オイスターパーペチュアルで火が付いて、いまだに人気の衰えないターコイズブルー。実は筆者が展開する時計ブランドで、ロレックスが1950年代に一部スポーツモデルに採用した通称“ハニカムダイアル”をこのターコイズブルーで再現した“369ブルースペシャル”という新作を11月中旬に発売する運びとなった。
時計好きの御仁からは「こんなものいらない」といろいろ言われそうだが、手前味噌ながら色こそモダンであれ、36mm径ケース、ケース厚9.9mmに4mm高のドーム形プラ風防、そしてセミバブル風ケースバックに8mmのビッグリューズと、外装はかなり50〜60年代当時の雰囲気にこだわって再現。いい感じに仕上がったと思っている。現在、詳細をクラウドファンディング「ウオッチメーカーズ」で公開しているため、ぜひその細部をご覧いただけたらうれしい。価格は5万5000円(Cal.Miyota9039)。