冷戦構造化でアメリカとソ連の宇宙開発競争がヒートアップした1960年代。二代大国のせめぎ合いは、1969年にアポロ11号が人類初の月面着陸を実現したことでひとつのピークを迎え、デザインの世界にも大きな影響を与えることになる。宇宙や近未来をイメージしたスペースエイジと呼ばれるデザインが世界的なブームとなったのだ。
宇宙船を思わせるような曲線と流線形を生かしたフォルムや、オレンジなどのビビッドカラーを差し色に使うのが特徴なのだが、腕時計に関して象徴的なのが、やはり富士山のように盛り上がった厚みのある“オーバルケース(英語で“卵形”の意味)”だろう。
伝統的な時計デザインと一線を画すインパクト抜群のフォルムは時計業界の一大トレンドとなり、いまでも70年代スタイルのレトロウオッチを象徴するデザインとして根強い人気を獲得しているのだ。
今回は、そんな “オーバルケース”を採用したレトロなクロノグラフをクローズアップ。手頃な2万円台のモデルから5万円台までの価格帯で、編集部おすすめの3モデルを紹介していく。
【編集部の注目モデル】
イエマ(YEMA)
ミーングラフ スーパー
故モンキー・パンチ氏原作のテレビアニメ 『ルパン三世』。テレビシリーズ第1弾の第1話でルパン三世が着けていたことでも知られる“ミーングラフ スーパー”をベースにした復刻モデル。グラマラスな変形オーバルケース、つや消しの黒いアルミニウムリングを設置した両方向回転ベゼルなど、1960年代後半に発売されたオリジナルモデルの雰囲気が再現されている。
■Ref.Y70。SS(39×45mmサイズ)。10気圧防水。メカクォーツ(Cal.VK64)。4万6200円
【問い合わせ先】
イエマジャパン
TEL.03-5875-8810
販売サイト:タイムギアオンラインショップ
https://timegear-onlineshop.com/?pid=158566056
【編集部の注目モデル】
アンダーン(UNDONE)
ステラー スピードスター ティフブルー
1960年代から70年代に製造されたオマーン軍仕様のレアモデルをモチーフに、先進の技術とデザインでモダンなアレンジを加えた限定モデル。アイコンである“ハンジャル(オマーンの国章)”をレイアウトしたデザインに加え、デザインのアイコンとなっているのがケースの裏側にベルトを設置したオーバルケース。存在感を主張するレトロなフォルムに加え、ケースとベルトを一体型にしたデザインに加え、ベルトの付け根が肌に密着する構造によって快適なホールド感を実現している。
■TIFF BLUE。SS(41.8mm径/DLC加工)。100m防水。クォーツ(SII製Cal. TMI VK63)。5万9950円
【問い合わせ先】
アンダーン・ジャパン
TEL:03-5774-1447
【編集部の注目モデル】
シチズンコレクション(CITIZEN COLLECTION)
レコードレーベル ツノクロノ(スタンダードモデル)
1970年代にチャレンジタイマーというペットネームでリリースされていたヘリテージモデルをベースに、当時の雰囲気を再現。ツノクロノという名前のとおり、ケース上部から2本のプッシュボタンが飛び出たアイコニックなルックスに加え、白文字盤に黒いインダイアルを配置したバイカラーのデザインが存在感を主張する。
■Ref.AN3660-81A。SS(38mmサイズ)。5気圧防水。クォーツ。2万6400円
【問い合わせ先】
シチズンお客様時計相談室
TEL.0120-78-4807
文◎船平卓馬(編集部)