ドイツ製高級腕時計の聖地とも称されるドイツ東部に位置しチェコとの国境近くにある小さな街“グラスヒュッテ”。人口2000人足らず、歩けば20〜30分で回り終わってしまうほどの小さな街にもかかわらず、名だたる高級時計メーカーが10社以上もが林立する。 ドイツ時計産業の一大中心地なのである。
そして、今回取り上げた“グラスヒュッテ・オリジナル”はその中でも代表的ブランドのひとつと言える存在だ。
このグラスヒュッテ・オリジナルは、内外装のほとんどをドイツ国内でまかない高い自製率を誇る。ムーヴメントのパーツは、実に95%以上が自社製造だ。しかも、ドイツのシュヴァルツヴァルト地方(通称黒い森)の北玄関口にある街“フォルツハイム”に文字盤を専門に製造する工場をもち、文字盤までも自製している数少ないブランドのひとつでもある。ムーヴメントを自社製造するブランドは工作機器や技術の進歩によってかなり増えてきたが、文字盤まで自社で作るブランドとなると極めて少ない。
今回紹介する最新作は、これは、1960年代と70年代の二つの時代からインスパイアされたモデルを展開するヴィンテージコレクション。そのひとつ、70年代をコンセプトに掲げるセブンティーズラインの人気モデル、セブンティーズ・クロノグラフ・パノラマデイトのカラーバリエーションモデルだ。
グラスヒュッテ・オリジナル
セブンティーズ・クロノグラフ・パノラマデイト
■(左)Ref.1-37-02-11-02-63。(右)Ref. 1-37-02-10-02-70。。ともに SS(40×40mmサイズ、厚さ13.50mm)。10気圧防水。自動巻き(Cal. 37-02)。世界限定各色100本。185万9000円(ラバーベルト)。201万3000円(メタルブレス)
まずはセブンティーズ・クロノグラフ・パノラマデイトの特徴について触れると、デザインはクラシカルな雰囲気だが、今回がトレンドであるカラーダイアルを意識したビビッドなカラーリングの文字盤を採用した。
実はかなりの多機能モデルなのである。瞬時にクロノグラフ秒針をゼロリセットできるフライバッククロノグラフ機構を備え、そのクロノグラフの積算計は、30分は3時位置で一般的なのだが、12時間は12時位置の小窓にアラビア数字で表示される。
また、ちょっと見落としてしまいそうだが、パワーリザーブインジケーターを9時位置のスモールセコンド(秒針)のインダイアル内にさりげなく備えている点もおもしろい。要素が多くなると文字盤デザインが煩雑になるため、クラシカルな全体の雰囲気を壊さないようにと考えられていることがわかる。
そして6時位置にあるのが、グラスヒッテ・オリジナルのシンボルとも言えるパノラマデイト。一の位と十の位の数字を別々のディスクで表示するよく言われるビッグデイトなのだが、それと異なる点がひとつある。それは同社の特許技術で、一の位と十の位の数字の間に本来あるはずの間仕切りがない点。そのため1体化して見えて判読性が高められているというものだ。
この最新のドイツ時計を確認してみてはいかがだろうか。
【問い合わせ先】
グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座
TEL.03-6254-7266
文◎川田健人(編集部)