A.機械式時計の駆動時間のこと
機械式時計は、動力源であるゼンマイがほどける力を利用して針を運針させる。
そして、一度ゼンマイが完全に巻き上がった状態から、ほどけきるまでのおおよその時間を、“パワーリザーブ”という。
機械式時計のスペックでよく、約38、42、72時間持続というのを目にするが、これがいわゆるパワーリザーブの駆動時間のことである。そのためパワーリザーブが長ければ長いほど、ぜんまいを巻く操作をせずとも時計が止まる心配はない。
これまでパワーリザーブは約2日間程度(約38、42時間)が一般的であったのだが、最近では約3日間(約70時間)もつロングパワーリザーブモデルも数多く出てきている。
これによって土日に時計を着けなくても、月曜日の朝に時計が止まっているということがなくなるため、近年ひとつの目安として重視されてきているようだ。
70時間以上のロングパワーリザーブモデルはこれまでウン十万、ウン百万の高級時計が主流だったが、昨今はスウォッチグループのブランドを筆頭に、10万円台の価格の時計にも見られるようになった。
ETAを有するスウォッチグループ傘下のブランドのように、ムーヴメント開発環境に恵まれたブランドは、約80時間パワーリザーブが通常装備となりつつある
文◎松本由紀(編集部)
【関連リンク】
■Q32.自動巻き時計は毎日巻くとどうなる?
■【Q60】高級時計の製品データに“21石”などと表記がある。この“石”とはなんのこと?
■【Q74】機械式ムーヴメントに用いられる“シリコーン製パーツ”は何がすごいのか
■【Q75】機械式時計の針は逆回ししても良いのか
■【Q100】時計の針はなぜ右回りなのか