アラビア数字を5秒ごとに使ったスタイルは1940年代当時のジャガー・ルクルト製“ウィームス・セコンドセッティング”に見られた仕様で、それをブルーグラデーションで表現
パワーウオッチやロービートといった腕時計専門誌の総編集長がプロデュースする時計ブランド、アウトライン。その最新作“アウトライン・セコンドセッティング”が7月29日に一般販売を開始した。
新作は、航空航法の第1人者であったアメリカ海軍のP.V.Hウィームス大佐が考案し、1929年にロンジンが腕時計として開発した航空時計の名作“ウィームス・セコンドセッティングウオッチ”から着想を得て再現されたもの。そしてデザインのモチーフとなったのは1940年代に登場したその第2世代機だ。
第2世代機は双方向に回転する通称ウィームスベゼルを装備、そのベゼルが回転しないようにロックするための大きめのボタンと、時刻調整などを行う通常リューズの二つを備えている点が見た目の大きな特徴となっている。
1940年代当時の古典的な雰囲気を出すため、回転ベゼルの表面は傾斜を付けずフラットに処理し、風防もベゼルの表面よりも少しはみ出させて柔らかな曲線のドーム形を再現
これは、ベゼル上の“60”の目盛り位置を計測開始時の分針の位置にセットした後に回転しないようにロック、経過時間を秒単位まで細かく確認するために考案されたものである。40年代といえばまだダイバーズウオッチも開発されていない時代。おそらく当時としては画期的だったに違いない。そのためイギリス空軍やアメリカ軍に制式採用された軍用パイロットウオッチとしても愛好家に知られる。
そして、おそらくは軍用としてロンジン1社だけでは賄いきれなかったのだろうか、オメガやモバード、ルクルト(ジャガー・ルクルト)などの名だたる時計メーカーでもこの“ウィームス・セコンドセッティングウオッチ”が製造された。
もちろん双方向に回転するウィームスベゼル。計測時に回転しないように止めるロック機構など基本仕様は各社同じだったが、ベゼル上の目盛りやロックボタンの位置(2時と4時位置の両方存在)、そしてベゼルをロックする止め金具の構造はメーカーによっても、時代によっても微妙に違っていたようだ。
イギリス空軍に納入されたロンジン製が採用する、左右2カ所の出っ張りがベゼルの刻みと噛み合うように堅牢に作られたタイプを忠実に再現
アウトライン・セコンドセッティングには今回2種類のデザインが用意されている。そのひとつ黒文字盤タイプはロンジンなど多くのメーカーが採用していた10秒ごとにアラビア数字を配したまさに軍用スタイル。
一方のブルーグラデーション文字盤でモダンなアレンジを加えたタイプは、5秒刻みにアラビア数字を使い、当時のルクルトが採用していた仕様を再現したという。
なお、4時位置にあるベゼルを止めるための金具は、イギリス空軍に納入された当時のロンジンが採用していた堅牢な作りの止め金具に倣って再現している点もこの新作の大きな特徴といえる。
搭載している自動巻きムーヴメントは、日本のミヨタ製でしかもプレミアムに位置付けられるハイビートで薄型のCal.9039を搭載。それでいて価格は5万5000円とコストパフォーマンスの高さも魅力のひとつと言えるに違いない。
アウトライン・セコンドセッティングは2種類展開
【アウトライン・セコンドセッティング】
(右)Ref.20222-1BK(ブラック)。(左)Ref.20222-2BL(ブルーグラデーション)。SS(38mm径)。10気圧防水。自動巻き(日本製Cal.MIYOTA9039)。双方向回転ベゼル、ベゼルロック機構(4時位置)、シースルーバック。各5万5000円