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【知っておきたい腕時計の基本】クォーツモデルなのにスイープ運針。“メカクォーツ”って何?

 一般的なクォーツ時計は、秒単位でカチカチと小刻みに秒針が動くステップ運針が採用されている。しかし一部の高級機には、機械式時計のように滑らかなスイープ運針をするクォーツ時計が存在する。こうした機械式時計とクォーツ時計の良いとこどりをしたようなムーヴメントを“メカクォーツ”と呼ぶ。特に最近はセイコーマニュファクチャリングが供給するメカクォーツが普及しており、海外でも採用するブランドが多い。

 メカクォーツはその滑らかな運針で高級感を感じさせる以外にも、クロノグラフにおいてメリットが大きい。リセットなどの機構が機械式時計と同様なため、秒針が瞬時にゼロ位置に戻って再スタートできるゼロリセット機能が搭載できるのだ。当然ながらコストは機械式時計と比べれば段違いに安く、5万円程度で本格的なゼロリセット機能付きクロノグラフが入手できるとあって、かなりの人気を集めている。

 近年になって注目を集めるようになったメカクォーツ時計の歴史は意外に古く、1990年代には名門のジャガー・ルクルトもこのムーヴメントを手がけており、他社にも供給していた。しかし21世紀に入るころにはなぜかラインナップから消えてしまい、セイコーが復活させるまでは市場からメカクォーツ機は消滅していた。近年のメカクォーツ搭載クロノグラフは、ゼロリセット機能を搭載していることを意識してか、とりわけクラシカルなデザインを採用したモデルが目立つ。外観だけ見ていると、とても5万円クラスのクロノグラフには見えないモデルも多く、目の肥えた時計ファンをも満足させている。

IWCが1990年代後半から展開し、当時人気を博したGSTコレクション。そのラインナップのひとつにもメカクォーツを搭載したモデルが存在していた。ムーヴメントは名門ジャガー・ルクルトが手がけている

 例えばファーラン・マリは、メカクォーツを積極的に採用するブランドのひとつで、スイスの新興ながらパテック フィリップのモデルにインスパイアされた流麗なデザインで人気を博している。また手前味噌ながらアウトラインのパイロットクロノ20thリミテッドもメカクォーツ採用機。往年のパイロットウオッチを彷彿させるデザインで、アンティークウオッチファンからも高い評価をいただいている。

 

構成◎堀内大輔(編集部)

 

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