レビュー記事 編集部セレクション

【復刻顔か、モダン顔かアナタならどっち?】予算50万円で買う満足ダイバーズ時計

》》復刻顔派におすすめ!

エベラール
スカフォグラフ 300 MCMLIX

■Ref.41034.08/VS。SS(43mm径)。300m防水。自動巻き。50万4900円

 2021年に日本で本格的に再始動を果たしたエベラール。1887年創業という長い歴史をもつ同社では、とりわけクロノグラフの分野で多くの功績を残しているが、実はダイバーズウオッチの分野にもいち早く参入しており、1959年には100m防水を実現した“スカフォグラフ”を発表している。
 本作は、この初代モデルで特徴的だった三角形の大きなアワーマーカー&時針といった文字盤デザインを継承しつつ、現代基準のスペックにアップデイトされたものだ。
 そのレトロ感満載のデザインはもとより、優れた機能性にも注目したい。300mという防水性能は昨今のダイバーズウオッチでは特段優れているわけではないのだが、本作はヘリウムエスケープバルブを備えた飽和潜水対応の本格仕様となっているのだ。この価格帯の機械式ダイバーズウオッチで飽和潜水に対応しているモデルはそう多くない。それでいてケースの厚みが12.6mmに留められているというのだからうれしい。もっとも、ケース径は43mmと大振りなため手首の細い人は注意したいが、筆者の感覚としては、実際のサイズほどの大きさは感じず、かつ装着感は悪くない。
 またセラミック製の逆回転防止ベゼルに記されたスケールは蓄光となっているが、本作ではミニッツ目盛りまで蓄光となっている点にも注目したい。メジャーなダイバーズウオッチでも、ベゼルのミニッツ目盛りにまで夜光を塗布しているものは、実はそれほど多くない(ロレックスのサブマリーナーでさえ、夜光はベゼルトップの1カ所だ)。これらの作りを見ると、ダイバーにとって真に有用な機能性を追求したエベラールのこだわりを感じる。
 アクの強い文字盤デザインに加えて、ケースサイズも大振りなため、存在感はかなりある。そういった意味では着用シーンや使うユーザーを選ぶモデルではあるが、こだわった作りを考えれば約50万円の価格は高くない。

【問い合わせ先】エベラール・ジャパン TEL.03-5422-8087
https://www.eberhard.jp

 

》》モダン顔派におすすめ!

ヴェンペ
アイアンウォーカー オートマティック ダイバー

■Ref.WI200001。SS(42mm径)。30気圧防水。自動巻き(Cal.ETA28 92-A2ベース)。52万8000円

 ヴェンペが2020年に発表した新シリーズのアイアンウォーカー。これはケースと一体化したブレスレットを持つ、いわゆるラグジュアリースポーツだが、そのラインナップには本格スペックを有したダイバーズ仕様も展開されている。
 王道的なスタイルの、精悍な雰囲気をもつダイバーズウオッチとはまたひと味違った、アイアンウォーカーの洗練されたデザインももちろん魅力だが、本作で見るべきは、やはりシリーズの根幹でもある外装の凝った作り込みだろう。ポリッシュとサテンを使い分けた美しいフィニッシュに加え、パーツの厳密な噛み合わせなどヴェンペの優れた加工精度が際立つ。
 一方で自社ムーヴメントも有するヴェンペだが、本シリーズでは高い外装クオリティを追求しつつ、手の届く価格帯を実現するため、あえてエボーシュベースを採用している。とは言え、エボーシュは一度完全に分解してモディファイを加え、ドイツクロノメーター基準をクリアするレベルまでブラッシュアップされるため、性能は折り紙付きだ。ヴェンペの時計作りに一切の妥協はないのだ。

 また本作では装着感という点にも重きを置いており、ダイバーズ仕様ながらも、ケースの厚さが11.7mmに留められている。洗練されたデザインとこの薄さであれば、スーツスタイルにも非常に合わせやすいうえに、タウンユースとしても使いやすいデザインと言えよう。もっとも、プロフェッショナルモデルらしい“無骨さ”という点では、少し物足りなさを感じる人もいるはずで、好みの分かれるところだ。

 

【問い合わせ先】シェルマン日本橋三越 TEL.03-6225-2134
https://shellman-dearwatchlover.com

文◎堀内大輔(編集部)/写真◎笠井 修

 

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