A.2014年に、スイス連邦計量・認定局、METAS(メタス)が新たに制定したクロノメーター規格
スイスの公的独立機関“スイス公認クロノメーター検定協会(Controle Offiiciel Suisse des Chronometres)”、通称C.O.S.C.(コスク)による認定試験に合格し、認定を受けたムーヴメントを搭載した個体には、“CHRONOMETER(クロノメーター)”という表記が文字盤に施される(詳しくはQ43を参照)。
これはひと言でいうと精度が良い時計であることを示す証なのだが、実は2014年に、この精度をさらに上回る“マスター クロノメーター”という新たな規格が登場した。
マスター クロノメーター規格は、オメガと、中立な第三者機関であるスイス連邦計量・認定局であるMETAS(メタス)が共同で制定した検定制度。その規格が発表された1年後にオメガが世界初となるマスター クロノメーターの認定モデルを発表した。
ではこれまでのCOSCがまったく関係しないかというと、そういうことではない。
マスター クロノメーターが課すテストを受けられるのは、あくまでもCOSCクロノメーターのテストを通過した個体が対象だからだ。そしてCOSC以上の厳しい基準が課されている。
・ムーヴメントがCOSC認定を取得していること
・“Swiss Made”法令に則って製造されていること
・1万5000ガウスの磁場環境下でのスムーズな動作確認およびその後の精度テストをクリアしていること
・4日間にわたり六つの姿勢で、摂氏33度、23度の温度下に置き1万5000ガウスの磁場にさらし、各日の精度をチェック。最終日に平均日差を算出し、時計の日差が0〜+5秒以内であること(COSC認定ではムーヴメントの状態で−4〜6秒以内)
・公表するパワーリザーブ時間の正確性に加え、残量が100%および33%での精度テストをクリアしていること
・防水性能がISO(国際標準化機構)規格22810:2010(防水時計)に準拠していること
COSCクロノメーターとの大きな違いは、COSCがムーヴメント単体のみの精度をテストするのに対して、マスター クロノメーターはムーヴメント単体を1万5000ガウスの高磁場にさらしてテストしたあと、ムーヴメントをケーシングした、つまり時計の状態でさらにテストを行うということである。
なお、2021年にはチューダーもこのマスター クロノメーター認定を取得している。
2021年に発表された、チューダーのブラックベイ セラミック。これまでオメガの独占状態であったマスター クロノメーター認定を取得したモデルとして当時話題を集めた
<参考文献>
オメガ公式サイト>オメガワールド>マスター クロノメーター認定 - https://www.omegawatches.jp/
文◎松本由紀(編集部)
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