A.SUS904Lステンレススチール
現在、主に腕時計に使用されているステンレススチールは、医療器具にも使用されているSUS(外科、手術という意味のサージカル)316Lである(ステンレススチールについて詳しくはQ19を参照)。
時計好きであればご存じだと思うが、ロレックスではオイスタースチールと呼ばれている“SUS904L”というステンレススチールが全モデルに使用されている。
904Lスチールは、一般的なステンレススチールよりクロム含有量が多く、強度や腐食にも強い904Lという窒素を含んだステンレススチールだ。
この904Lスチールは1985年に、時計メーカーとしてロレックスが初めて採用。いわば904Lスチールのパイオニア的存在なのである。
ロレックスの公式サイトによると、「904Lスチールは通常ハイテク産業や航空宇宙、化学産業で使用されている。貴金属に匹敵するほど耐蝕性に非常に優れているからである」と記載されている。
優れた素材ゆえに316Lより加工がとても難しく高い技術とコストを要するため、ロレックスだけが唯一採用していた素材だったのである。しかし、近年一部のモデルに採用するメーカーが少しずつ出てくるようになった。
ただ、ロレックスのように全モデルに採用しているブランドはいまだに存在しない。
なお316Lスチールも904Lスチールも、見た目に差はない。写真左がロレックスの(904L)オイスタースチール、右が316Lスチールだ
文◎松本由紀(編集部)
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