ゼンマイを自動で巻き上げるためのローター(回転錘)を収めるために裏ブタが泡のように膨らんでいたことから“バブルバック”の愛称で呼ばれるようになった1940年代のオースターパーペチュアル
人気11モデルの6月度の相場動向をお伝えする前に、去る5月7日、8日に行われた “フィリップス”のジュネーヴオークションに出品された1944年製のパネライの腕時計について紹介したいと思う。あまり時計に興味がない方は「何でロレックス通信なのにパネライなんだ」と思われるかもしれないが、実は出品されたこの時計は、ロレックスと深い関係がある代物なのである。
9万4500スイスフラン(約668万2500円)で落札されたこのパネライだが、文字盤上のアワーマーカーは上半分がローマ数字で下半分がアラビア数字というちょっと奇妙なデザインが採用されている。実のところこれは“エラープルーフダイアル”。つまり時刻を見間違えないようにとロレックスが考案し1942年7月15日に特許(BREVET #221643)を取得している文字盤デザインなのである。
よく時計愛好家の間では“カリフォルニアダイアル”とか“ユニークダイアル”と呼ばれているものだ。そしてこれはバブルバックの愛称で知られる40年代のオイスターパーペチュアルに初めて採用された。
“フィリップス”のジュネーヴオークションで落札された1944年製のパネライ。視認性を高めるためにロレックスによって考案された“エラープルーフダイアル”仕様の珍しい個体(写真◎フィリップス)
ではなぜロレックスが特許取得している文字盤をパネライが使えるのか。時計好きの方ならご存じだと思うが、パネライはもともとイタリア海軍のサプライヤーとして、何年にもわたって海軍に水深計や水中コンパスなどの高精度な計器を供給していた会社だった。
1930年代半ば、イタリアはイギリスと緊張状態にあり、軍事衝突に備えて潜水攻撃部隊を計画、同時に潜水夫用の特殊な防水時計の開発が急務となっていたのである。そこでイタリア海軍は、水中コンパスなどのサプライヤーだったパネライにその開発を要請。当時、時計製造のノウハウがなかった同社が協力を仰いだのがロレックスだったのである。
そして、1936年にパネライ向けにロレックスが作った最初のプロトタイプに採用されたのがこのエラープルーフダイアル(カリフォルニアダイアル)というわけである。パネライの時計は1980年代まで軍向けだけに作られていて、一般に売りに出されることはなかった。そしてロレックスの防水ケースは50年代まで使われていたと言われている。
■ 主要11モデルの月間ロレックス相場(6月17日更新)は軒並みダウン
6月17日付けの「主要11モデルの月間ロレックス相場」(関連記事参照)の動きは以下のとおりである。4〜5月の2カ月間は多少の上下があったもののそれほど目立った動きは感じられなかった。しかし今月は、ヨットマスターロジウムとエクスプローラー II 以外はすべてダウンしている。特にデイトナは20万円その下げ幅は大きかった。
【GMTマスターII/Ref.126710BLRO】国内定価111万9100円
・実勢価格:365万円→360万円(↓) 先月より5万円ダウン
【デイトナ/Ref.116500LN】国内定価160万9300円
・実勢価格:491万円→471万円(↓) 先月より20万円ダウン
【サブマリーナーデイト/Ref.126610LN】国内定価111万8700円
・実勢価格:216万円→208万円(↓) 先月より8万円ダウン
【サブマリーナーデイト グリーン/Ref.126610LV】国内定価117万7000円
・実勢価格:298万円→287万円(↓) 先月より11万円ダウン
【ミルガウス/Ref.116400GV】国内定価101万4200円
・実勢価格: 169万円→169万円(→) 先月と変わらず
【ヨットマスターロジウム/Ref.126622】国内定価136万4000円
・実勢価格:238万円→245万円(↑) 先月より7万円アップ
【ディープシー/Ref.126660】国内定価153万8900円
・実勢価格:202万円→194万円(↓) 先月より8万円ダウン
【エアキング/Ref.116900】国内定価79万3100円
・実勢価格:146万円→143万円(↓) 先月より3万円ダウン
【デイトジャスト/Ref.126200】国内定価80万4100円
・実勢価格:119万円→115万円(↓) 先月より4万円ダウン
【エクスプローラーII/Ref.226570】国内定価104万9400円
・実勢価格:188万円→191万円(↑) 先月より3万円アップ
【エクスプローラーI/Ref.124270】国内定価79万3100円
・実勢価格:143万円→137万円(↑) 先月より6万円ダウン