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通称“ウィームスベゼル”を再現。誤作動防止機構は40年代にイギリス空軍に納入された当時のロンジン仕様|OUTLINEニュース no.35

秒単位での計測のため考案された通称ウィームスベゼルを再現した最新作“アウトライン・セコンドセッティング”。回転ベゼルの誤作動を防ぐためのロック機構はかつてロンジンが採用した止め金具に倣って製作

 現在、クラウドファンディング「ウオッチメーカーズ」で先行予約を受け付けしているアウトラインの最新作“セコンドセッティング”について、今回はその最大の特徴でもある1940年代当時の双方向に回転する通称ウィームスベゼルと、それに設けられた回転防止機構について紹介させていただく。開発に当たって当時のオリジナルを調べていると、意外にもその仕様は微妙に違っていた。

 今回の新作は、アメリカ海軍大佐であり航空航法の第一人者だったP.V.H.ウィームスが、秒単位での経過時間の計測を目的に1929年に考案し、ロンジンが時計として具現化した通称“ウィームス・セコンドセッティングウオッチ”と呼ばれるパイロットウオッチ。その第2世代を再現したものである(詳しくは当連載32回参照)。

 第2世代は、時計の大きさ自体が第1世代よりも15mmほど小さくなり、一番の役割である秒単位での経過計測を行うスケールは文字盤中央の回転ディスク仕様からベゼル上に目盛りが刻まれた通称“ウィームスベゼル”に改良され実用性が格段に向上した進化版だ。そのため軍用としても採用されるようになり、ロンジン1社だけでは賄いきれなかったためか、オメガやモバード、ジャガー・ルクルト、ゼニスなどの名だたる時計メーカーでも、このウィームス・セコンドセッティングウオッチが製造されたのである。

 そして、ロンドンの時計商社であったゴールドスミス&シルバースミス社を通じてイギリス空軍に納入。一方、アメリカ陸軍航空隊では主に航空兵が使うナビゲーションウオッチ“タイプA-11”のひとつとして実際に制式採用された。まさに軍用パイロットウオッチの名作のひとつと言える存在なのだ。

左のオメガのセコンドセッティングウオッチはギザギザ型の凹凸がベゼル斜め上方に向いているためL型パーツの山形の突起部が溝の凹部に噛み合う構造。右のモバードも基本は同じだが突起部分が側面に付いるなど微妙に違う

 そのため、インデックスは軍用では必須となる判読しやすいフルアラビア数字。秒単位の目盛り付きで双方向に回転するウィームスベゼル。そして計測時にそれが回転しないように止めるためのロック機構を装備するという仕様は各メーカー共通だった。ただいろいろ調べているとベゼルをロックするための止め金具などの仕様はメーカーによっても、時代によっても微妙に違っていたようである。

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