A.ドイツのザクセン州、グラスヒュッテで製造されたことを意味している
スイス製の高級時計に表示されている“SWISS MADE”は、スイス製のムーヴメントを使用していることや、製造コストの60%以上がスイス国内に支払われているなどの基準(スイス法令)があり、その基準をクリアした時計のみが文字盤に表示できる原産地証明だ。
ドイツにもスイスと同様に明確な基準をもつ原産地証明がある。それがドイツ、ザクセン州にあるグラスヒュッテで製造されたことを証明する、“GLASHUTTE I/SA” だ。
“GLASHUTTE I/SA”のI/SAとはin Sachsen(ザクセン)。GLASHUTTE I/SAはグラスヒュッテ イン ザクセンとなる
GLASHUTTE I/SAが表記できる基準としては、グラスヒュッテでの手間と作業が、ムーヴメントを含む時計自体の製造原価の50%以上を占めること。つまり、グラスヒュッテに本拠を構え、時計を組み立てているだけでは基準を満たさず、それをクリアするためには、ムーヴメントがたとえスイス製のエボーシュであっても、50%以上の手間のために改良などの何らかの作業をしなければならないということである。
またドイツにはグラスヒュッテという地名が複数存在するらしく、A.ランゲ&ゾーネの創業者、フェルディナント・アドルフ・ランゲが興した、歴史ある時計産業の地としてのグラスヒュッテと、他の地域とを明確に区別する目的もあるようだ。
ちなみに、このGLASHUTTE I/SAを表示する時計メーカーで、日本で展開しているのは次の7社。A.ランゲ&ゾーネ、グラスヒュッテ・オリジナル、モリッツ・グロスマン、ミューレ・グラスヒュッテ、ノモス・グラスヒュッテ、チュチマ・グラスヒュッテ、ヴェンペ(アルファベット順)である。
文◎松本由紀(編集部)
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